松本 そこで「世界で一番おいしかった食べ物教えてください」って聞いたら、その方は「しなちく」って言いはったんです。あのラーメンに入ってるメンマですよね。「ほんまにフランスとか回ったんですか?」と(笑)。その方が言うには、世界中旅行して日本に帰ったときに食べた、素朴なラーメンの食べ慣れてるしなちくがおいしいなあっていうのが一番の思い出だと。

西川 説得力ありますね。

松本 そうするとどんどん思い出してしゃべってくれるんですよ。盛り上がって、周りのことは見えなくなっちゃって(笑)。

西川 ハハハ(笑)。でも僕らが聞くから、先生の立場になって教えたいということですよね。

松本 僕らも芸人だから、「ええっ!?」「そのあとも?」とか、相槌を打ってどんどん気持ちよくして盛り上げるので。

西川 それが「回想法」という手法だね。

松本 「ひな壇」のMCをやらせてもらってる感じですね。みなさんが壇上に座っていて、僕らがみなさんの話を広げていって、何か引っかかりそうなことがあったら、おもしろく返す。そして別の人に、「〇〇さんはそういうことありますか?」と話を振る。いわゆるバラエティー番組でやっていること。これが、僕らの介護レクのやり方です。

■こんなホームはいいホーム

松本 「いいホーム」はどんなところかといえば、地域に開かれているところだと思います。夏祭りで、地元の子どもたちに折り紙を教えるとか。そういうホームは素敵やなあと思いますね。

西川 僕は、スタッフさんと利用者さんの距離が近いところだと思いますね。あるホームの利用者さんが、脚本家の橋田寿賀子さんにめっちゃ似ていたんです。服装、髪形、眼鏡も。物まねしてるんかと思うぐらい。

松本 芸人だからすぐいじりたくなるんですよ。でも様子を見て、緊張を解くためのアイスブレークで良い反応があったので、「あれ、先生! ここにおられたんですか。うわさでは熱海のほうに住まわれてると聞いたんですが……」と言ってみたら、その方は、「違いますよ」と。「いや橋田先生にそっくりですよ、だまされたと思って何か脚本書いてみてください」と(笑)。

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