奨学金は「柳井以外全落ち」と話す松本杏奈さん(左)と、「柳井しか受けなかった」という松野知紀さん(右)(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)
奨学金は「柳井以外全落ち」と話す松本杏奈さん(左)と、「柳井しか受けなかった」という松野知紀さん(右)(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)
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 地方発、アメリカへ――。茨城県出身でハーバード大に入学予定の松野知紀さんと、徳島県出身でスタンフォード大に入学予定の松本杏奈さんは18歳の同い年。学校でトップの成績を維持しつつ、高い英語力を磨き、ディベート大会や研究プログラムなどの課外活動を自主的に行ってきた。そんな2人が自らの経験を振り返って気づいた、いまの社会の問題点とは。
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■海外大への道を阻む「お金」の問題

――海外大学進学にあたり奨学金はもらいましたか。

松野知紀さん(以下、松野):私と松本さんは、同じ柳井正財団から海外奨学金をもらっています。授業料、寮費、保険料に加え、学習・研究・生活支援金の支給を4年間受けることになっています。大変ありがたいです。

松本杏奈さん(以下、松本):私は柳井以外の奨学金に全落ちしたんですよ。海外大進学生向けの奨学金は、ほとんどが海外大の合否の前に募集が行われます。大学の合否の後に募集が行われる全額カバー型の奨学金は、柳井しかないんです。これは大きな問題だと思います。たとえば地方の学生で、親御さんが海外大進学に理解がないとなると、奨学金の支給が約束された状態でないと留学は許さないかもしれません。奨学金に落ちてしまったら、受験する前に留学をあきらめることになってしまいます。

 また、財団に将来性を認められて合格したにも関わらず、財団が支給の対象とする大学には合格できなかったというケースもあります。反対に、奨学金はどこにも合格できなかったけれど、大学には合格した。けれども奨学金がないから進学をあきらめるという人が、今年複数人いました。私はそういうところがおかしいなと思っています。

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奨学金の存在を知られていないことも問題