「オリパラは素晴らしいという教育の最終到達地として学校連携観戦プログラムがある。ずっと準備してきた大会組織委員会や文科省はやめられないわけです。また、子どもが会場にいれば、テレビが『小学校のみなさんが応援してくれています』と映して、盛り上げようとする。演出にも不可欠ということです。ただ、屋外での観戦は熱中症の危険がかなり高い。参加させたくないという回答は極めてまともだと思います」
もちろん平時ならば、教育的な意義も理解できる。実際、アンケートにはこんな声もあった。
「自分も実際見たことがあるがやはり肌で感じるものは大きく生涯の思い出になると思います」(女性、45歳、兵庫)
安心・安全が確保できていると判断して、「参加させたい」という保護者もいた。
「コロナ禍のもとでのオリンピックという稀な体験は貴重と思っている。収容人数も制限され、すでに感染対策が取られている場所に対しては不安感はあまりない」(女性、48歳、東京)
アンケート最後に、自由に意見を書いてもらった。開催そのものの中止を求める意見や不安を漏らす声で溢れた。
「もっと早い段階で中止の決断をしてほしかった。どんどん経費が膨らみ、やるも地獄引くも地獄の状態。さらにコロナにまつわる国の出費など考えると、全て国民に追わされるかと恐ろしくなる。税が重くなるのは辛すぎる」(女性、57歳、東京)
「中止か開催かも、観客数もいつの間にか決定されていて怖い。亡くなった母が『あれよと言ううちに、いつの間にか太平洋戦争が始まっていた』、と言うのを聞いて『まさか』と思っていたけど、本当だったかもしれない」(女性、69歳、神奈川)
アンケートの回答から見えてくるのは、開催を目前にしても国民の不安は解消されていないという状況だ。菅首相は「安全、安心な大会を実現することにより、希望と勇気を世界中にお届けできるものと考えている」と強調したが、アンケートに寄せられたのは「開催ありき」で考える政府の姿勢への疑問ともいえる。