しかし、いまだ感染収束の兆しはみえず、観戦計画の見直しを求める声が強くなってきている。例えば、すでに目黒区(東京都)、板橋区(同)、三鷹市(同)などの自治体が中止を表明した。


居住地内訳
居住地内訳

 実際、保護者はどのように思っているのか。アンケートできいたところ、結果は、85%が自分の子どもは「参加させたくない」と回答。「参加させたい」は12%にとどまった。「まだわからない」は3%だった。

 併せて尋ねたその理由については、次のような厳しい調子でつづられた回答が多かった。

「リスクの多い場所にワクチンも接種できない子供をわざわざ差し出すなんて、生贄か何かですか? 狂気だ」(女性、33歳、東京)

「競技場に観客を入れて見栄えをよくするために子供たちを利用したいように思えるから」(女性、47歳、埼玉)

保護者ではないが、未来を背負う子どもたちに対して心配する声も多く寄せられた(パーセンテージの集計には含めていない)。

「感染者の子供たちの間で必ず感染が広がる。子供の命と健康を何と考えているのか」(男性、80歳、和歌山)

「子供を観戦させるのであれば政治家の孫、ひ孫親類縁者の子供を優先的に行かせれば良い」(女性、57歳、大阪)

学校連携観戦についての回答
学校連携観戦についての回答

 懸念されるのは子どもたちの健康だけではない。AERAdot.では児童・生徒を引率する教職員の悲鳴も報じてきた。コロナ禍で、かつ真夏の引率となると現場の教師の負担は相当なもの。しかし、大会組織委員会の武藤敏郎事務総長「一生の思い出になる」「スポーツの力を感じていただく」など意義を述べ、計画を取り下げていない。
 
 なぜここまでこだわるのか。

 東京五輪の問題に詳しい作家の本間龍氏は「自分たちから取りやめることは絶対にない」と言い切る。背景として指摘するのが、五輪のための演出と、文科省がこれまで進めてきた「オリパラ教育」だ。

 文科省、スポーツ庁では16年度から、五輪への興味関心を高めることや、スポーツの価値、国際理解を深めることなどを目的に、オリパラ教育を実施している。年間35時間程度の実施が目安となっている。自治体によって異なるが、東京都ではすべての公立校で実施されている。本間氏はこう見る。

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