あさとひわ著『ねぼけノート 認知症はじめました』(朝日新聞出版)より
あさとひわ著『ねぼけノート 認知症はじめました』(朝日新聞出版)より
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「読んでいてほのぼのする」「家族の愛情を感じる」と話題のコミックエッセイ『ねぼけノート 認知症はじめました』(朝日新聞出版)。レビー小体型認知症と診断された父(当時78)を母と一緒に支える日々を描いた、イラストレーターのあさとひわさんの実話です。

【「それ認知症と関係なくない?」マンガはこちら】

 感想で多いものの一つが、「お父さんがかわいい」というもの。これについてあさとさんは、「わがままなところも描いたのに、意外」と言います。そこで今回は、お父さんのワガママエピソードを紹介します。

■父と散歩してみたら…

 認知症と診断されてから2カ月ごろ、家にこもりがちになったお父さんを心配し、あさとさんは散歩に誘います。目的地は家から10分ほど公園。でもお父さんは「疲れた」と言っては休憩し、思ったより大変そうだったので、途中で引き返すことにしました。

「ちょっとムリさせたか…」と心配したあさとさんでしたが、お父さんは「今日はたくさん歩いたよね」とご機嫌そうでひとまずホッ。

 すり足ぎみにちまちまとゆっくり歩き、青信号のうちに横断歩道を渡り切るのが大変で、すぐに何かにつかまりたくなるお父さんと一緒に歩きながら、あさとさんはこう考えます。

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