中部でも東日本並みに突出したグラフが目立つ。昨年5月に、北アルプスのある岐阜・飛騨地方で、断続的に限られた場所で地震が頻発する「群発地震」が発生したためだ。高山市(岐阜県)で201回、松本市(長野県)でも165回と地震の回数が大きくなっている。
伊豆半島や伊豆諸島、屋久島の南西に位置する鹿児島県の十島村(トカラ列島)も群発地震がたびたび起こるところしても有名だ。
この1年間で地震のなかった地域にも注目していきたい。福岡県では地震がなかった地域が多く、51地域(自治体・行政区)もあった。次いで北海道が27地域、兵庫県が22地域となっている。鳥取、島根、岡山、広島といった中国地方の各自治体があがっている。
立命館大の高橋学特任教授(災害リスクマネジメント)はこう見る。
「福岡県では地震は少ないが、地盤が悪いところが多く、水害にたびたび見舞われている。北海道では人口が少ない地域も多く、観測地点も少ないのも影響しているのでしょう。岡山県では断層が少なく地震も少ないとされていますが、詳しく調査されている断層がほとんどなく、リスクがよくわからない実態があります。兵庫県の西部の佐用町などでは比較的地震が少ないため、実験施設が作られるなどで知られています」
いま地震が少ないからといって安全というわけでもない。1995年に起こった阪神・淡路大震災では神戸市東灘区、灘区、兵庫区などで震度7の揺れが起きている。05年に起きた福岡県西方沖地震では、福岡市東区、中央区、前原市(現・糸島市)でなど震度6弱を観測している。
日本列島どこにいても震度6弱以上の地震に見舞われてもおかしくない、とよく言われるが、それでも地震が来ない地域はあるようだ。先の遠田教授はこう語る。
「理由はまだわかっていませんが、熊本県の天草諸島にある下島あたりは震源となる地震がほとんどありません。仙台湾や琵琶湖も震源が少ない。もちろん近くで地震があれば揺れますが、震源にはなっていない。50キロ四方の地域で見れば、そうした揺れない地域もいくつかあります」
地震がないと油断していると、被害を大きくする可能性もある。しっかりと備えておこう。