池谷:周りの芸人さんからも「大丈夫なのか?」とこっそり僕に尋ねられるくらい、なかなか闇のあるポエムでもありましたけどね。
高木:ただ、ある日、ライブ終わりに出版社の方が来てくださったんです。ブログを見てくださっていて「詩集を出しましょう」と。結果、2013年1月に本当に詩集を出していただきました。これはうれしかったです。こんな中でも、何か動いていれば見てくれている人はいるんだと。
池谷:僕はその時期に、学生時代からあこがれていた「ナインティナイン」さんの岡村隆史さんと接点ができまして。ありがたいご縁が心をつなぎとめる糸になりました。僕らが一発屋みたいな扱いを受けるようになってきた頃に「ぐるぐるナインティナイン」(日本テレビ)のロケに呼んでもらったんです。
ロケ終わりに食事に行かせてもらったんですけど、そこで僕が岡村さんと同じメニューを注文したんです。その料理が一つ運ばれてきた。当然、先に岡村さんに食べてもらおうとしたら「エエから、先に食べや」と言ってくださって。恐縮しながら箸をつけたら「食べんのかい!」とノリでイジってくださったんです。憧れていた方からイジってもらっている。それだけでもたまらない時間だったんですけど、その流れのイジリをしこたました後で、岡村さんがポロッとおっしゃったんです。「好きやねんなぁ」と。ご飯を食べている中での、ちょっとした一言。
それだけのことなんですけど、それがすごくうれしくて胸に刺さりました。昔から見ていた人から「好き」と言ってもらう。これって、すごいことだなと。
そこからラジオにも呼んでもらったり、いろいろとお世話になっていくんですけど、全てがありがたいし、うれしいし、こんなことがあるこの世界が素敵だなと。あの「好きやねんなぁ」は忘れられません。今、しゃべってても、涙が出てきそうになるくらい。芸人をやってて良かった。続けたいと思いました。