
つみたてNISAが300万口座を突破した。低コストな投資信託を積み立てる国の投資制度だが、S&P500に投資するファンドが異常な伸びを見せている。AERA 2021年4月19日号から。
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金融庁の速報値によると、つみたてNISAの口座数は2020年12月末時点で302万8259口座となった。前年同時期の189万230口座と比べて1.6倍。つみたてNISA口座による投資信託(ファンド)の買い付け額は2020年が6878億円、前年が2976億円。金額ベースでは2倍以上に伸びた。コロナ禍での余剰資金が投資に流れた格好だ。
同じく金融庁の、世代別動向がわかる9月末データも見てみよう。つみたてNISAをしているのは30代がトップで26.8%、次点が40代の25.4%と、30~40代で全体の約半数を占めた。20代と50代はいずれも17.5%だった。

■S&P500が1位
つみたてNISAとは、年間40万円までの投資の利益にかかる税金20.315%が非課税になる、国のお得な投資制度のこと。毎月、一定の金額を積み立てるので月額約3万3千円が上限になる。積み立てるのは、金融庁の基準をクリアした投資信託だ。日経225など特定の指数と同じ値動きをする「インデックスファンド」167本、ファンドマネジャーが投資先を選んで運用する「アクティブファンド」19本、株式市場に上場する「ETF」7本から選ぶ。
さて、どの投資信託が売れているのだろうか。4月13日発売の「アエラマネー2021春号」では、初心者に人気のインデックスファンド167本それぞれの純資産総額を調べ、ランキング形式で紹介している。その上位30社を4月1日現在の最新データで集計し直した。ネットでは検索しづらい生情報である。
1位は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」で3398億円。長らく首位に君臨していた「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」という先進国株式の投資信託を抜いた。この2本の違いは、前者が米国を代表する約500銘柄(S&P500)に投資するのに対し、後者は米国に加えて英国、フランス、カナダなどの先進国にも投資する点。つまり米国株オンリーの投資信託に個人の資金が向かっているということだ。
投資信託を販売する主要ネット証券でも、米国株ファンドの伸びは顕著。マネックス証券執行役員マーケティング部長の牧力爾(りきじ)さんは、「1年を通じて米国株主体のファンドが売れ続けた」と語る。