総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦などの入試が拡大する中、難関大学にコンスタントに合格者を出す高校も出てきている。高校側はどのような取り組みをしているのか。AERA 2022年7月11日号の記事から紹介する。
【写真】東大学校推薦型選抜で2022年度全国トップの渋谷教育学園
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大学側が総合型選抜(旧AO入試)など推薦型の入試を拡大させる一方で、生徒を送り出す高校側も、授業内容を見直し、進路指導を工夫するなど新しい取り組みを始めている。
2022年度、東京大学の学校推薦型選抜で全国トップとなる3人の合格者を出した渋谷教育学園渋谷高等学校(東京都)では、日々の学習を通して、推薦型入試の要となる「書類に書くべき突出した力」をつけていく。
例えば同校では、高校2年までに1万字の卒業論文を書く。全ての生徒が自分で研究課題を見つけ、論文作成に取り組む。宿泊行事や授業を通して発表する力もつけ、模擬国連をはじめとする各種大会にチャレンジする生徒もいる。東大の推薦型選抜に出願する生徒の多くがこうした大会で活躍した生徒たちだ。
同校は、東京工業大学、東京農工大学、筑波大学、東北大学といった他の国公立大学にも総合型選抜や学校推薦型選抜で合格者を出しているが、同校進路部部長の高橋正忠教諭は、東大の学校推薦型選抜は特に手がかかると話す。
「東大の推薦型選抜は教員側が準備する書類も多く、かなり書き込まなければいけないからです」
いずれの学部も、「なぜその生徒が出願要件を満たすといえるか」を教員が文章で示さなければならない。そのため、担任が中心となって書類を作成し、進路部や学年主任がチェックする体制を取り、提出まで入念に書類を練り上げていく。
担任以外も書類を指導
生徒が書く出願書類も、大学の学部によって求められる内容が異なる。その学部の学びと、本人のやりたい研究がマッチしているかを測るものが多く、生徒が書いたものが的外れになっていないかということも大事なポイント。担任教員がその分野に強くない場合は、より詳しい教員が指導を担当し、個別に対応してきた。
しかし、毎年合格者を出している同校でも、確固たる合格戦略は持ち合わせていないという。東大入試は面接や書類審査に加え、大学入学共通テストを受けることが必須となっているのだが、高橋教諭は言う。