AERA 2022年7月11日号より
AERA 2022年7月11日号より

「伸びしろのある学生」を獲得する最適解を総合型選抜に求め、制度を拡充してきた。

 実際、総合型選抜合格者の入学後の成績(4年間のGPA平均)は、一般選抜前期の入学者よりも文系・理系学部ともに上回る。「卒業後の進路」などの満足度も高い。

 東北大の総合型選抜は「学力重視」が前提だ。志願理由書などの出願書類と筆記試験で1次選考した後、2次選考で面接を行うII期と、1次選考で大学入学共通テストを課し、2次選考で面接するIII期に分かれている。

 11月に合格が決まるII期の合格者には、12~3月まで「入学前教育」を実施。例えば工学部の場合、1年生の選択必須科目の数学物理学演習を12月から前倒しで受講。希望者には入学間もない4月に試験を実施し、パスすると単位が付与される。また、入学前の3月には2週間の海外研修に参加できる。半額が自己負担のため参加は希望者限定だが、研修プログラムをこなせば入学後に単位として認定される。こうした取り組みが入学後の好成績維持の秘訣のようだ。

AERA 2022年7月11日号より
AERA 2022年7月11日号より

 早稲田大学でも、総合型選抜合格者の入学後のパフォーマンスは非常に高いという。

「入試種別ごとのGPA平均で総合型選抜の入学者は常にトップクラスを維持しています」

 教務部入学センター課長の城座俊輔さんはこう話し、その要因の一つに「目的意識の高さ」を挙げる。

 顕著なのが18年度から実施する「新思考入試(地域連携型)」だ。近年の早大の入学者の6割強が首都圏出身に偏っているため、地域の発展に貢献したいと考える人材を幅広く確保するのが狙い。1次は書類選考、2次は総合試験で評価する。ただし、2次試験の合格発表は前年の11月に行うが、最終合格には大学入学共通テストの3科目で8割という条件を設けている。

「9月の出願開始から最終的に合格が決まるのは大学入学共通テストが終わる2月になりますから、受験生には強い負荷がかかる入試です」(城座さん)

 それでも、「若干名」の募集に対し、22年度は6学部で計273人が出願。合格者は10人だった。志願者が多い理由は知識よりも論理的思考力を重視した入試で、入学後に「地域への貢献」をテーマとした特別プログラムを受講できるためとみられる。全国から集まる少数精鋭の合格者をもり立てようと、早大は入学後間もない時期にオリエンテーションを開催している。

「同じ目的意識を持つ友人と早い機会に出会える場を設定しました。オリエンテーションでは、やる気に満ちた声を聞くことができます。彼らが大学の学びを経てどう成長するか楽しみです」(同)

(編集部・渡辺豪)

AERA 2022年7月11日号より抜粋

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