●黄色い700系
小さな子どもや鉄道に興味がなさそうな若い女性でさえ、「見かけただけで1日ハッピー」という人もいるほど有名になった“ドクターイエロー”。
新幹線電気軌道総合試験車として、走りながら新幹線の高速運転を支えるさまざまな設備の状況を測定する。まさに「新幹線のお医者さん」であり、約10日に1度の周期で、電気設備や軌道設備などの状態を計測している。
700系と似ているのはその姿だけではなく、最高時速270キロという性能も同等。「のぞみ」をはじめとする営業列車と並行するダイヤを組んで、きちんと安定した検測が行えるようになっている。
●海外でも700系
場所は変わって台湾に行くと、正面から見ると「どう見ても700系」という顔の高速列車に出会える。それは台湾高速鉄道の車両で、その名も「700T型電車」である。
大方の予想通りだと思うが、700系をベースにして現地のニーズや法令に合わせて調整を施された、まさに台湾版700系と言える車両なのだ。
横から見ると、700系と比べてノーズが1メートル短いことが納得できる。「カモノハシ」という印象よりも、運転席から先端に向かって滑らかに下るきれいな曲線を描いている感じである。台湾高速鉄道のトンネルは一回り余裕ある規格で作られていることから、日本ほどトンネル微気圧波の問題がシビアではないようだ。
ほかにも12両編成とやや短めであることや、時速300キロ対応であることなど、いくつかの違いはあるが、注目したいのはこの車両の製造期間が700系のデビューから5年後の2004年から2012年にまで及んでいることである。これは紛れもなくベースとなった700系の基本設計の完成度の高さを物語っており、その功績は大いに評価に値すると言えるだろう。
●JR九州800系も700系
再び国内に目を向けると、姿は異なるのに紛れもなく700系ファミリーの一員だと言える車両がある。それは九州新幹線で「つばめ」や一部の「さくら」で使用されている800系だ。基本設計は700系のものを踏襲しており、700系8両編成から付随車(モーターのない車両)2両を除き、6両すべてを電動車にすることで勾配に対応させた設計になっている。
また、見た目にまったく異なるエクステリアも、実は700系のデザイン検討時に提案されながらも、結果的に採用されなかったものをベースにしているようで、ここにもやはり700系プロジェクトが息づいていると言えるだろう。