最高速度がさらに向上したわけではなく、高いレベルの走行性能を安定して発揮できるとともに、乗り心地を含む快適性の向上を実現した車両という点で、700系は完成度の高い車両だった。
700系はJR東海とJR西日本で共同開発され、JR東海は0番代を、JR西日本は3000番代を導入した。21世紀の新幹線を代表する車両の一つになったと言えるだろう。
■700系「のぞみ」から新たな形へ
東海道・山陽新幹線を西へ東へ行き交う「700系のぞみ号」には、ファミリー形式と呼べるものがいろいろある。ここであえて「700系のぞみ号」という呼び方をしたのは、初期段階において「のぞみ運用」中心だったC編成(JR東海)とB編成(JR西日本)以外にはっきり区別されたものがあったからである。
●8両編成の700系
伝統的な白と青の車体ではなく、ダークグレーとサニーイエローの帯を配したカラーリングで注目を集めた700系7000番代「ひかりレールスター」がその筆頭である。
通勤電車のようにひっきりなしに運転される東海道新幹線とは異なり、山陽新幹線ではダイヤをはじめ車両にも余裕を感じられる。8両編成の700系「ひかりレールスター」は、まさにそれを象徴するような存在だった。4~8号車はサルーンシートと呼ばれる2列+2列の配置となっており、普通車でもゆったりとした座席になっている。そのためか、グリーン車は存在しない。必要がないからだろう。
また、8号車には普通車指定席の4人用個室がある。「のぞみ」と比べて所要時間という点でもそれほど大きな差がなく、普通車指定席でありながらグリーン車のような快適な移動ができることから、出張族を中心に「ひかりレールスター」を好んで乗車する人は多かった。
2011年3月に九州新幹線(鹿児島ルート)が全線開通してからは、直通タイプの「さくら」がN700系7000・8000番代で運転されて、ダイヤでも車両設備でも役割が重なる部分が多いため、一線を退く形で「こだま」運用に回り、現在に至っている。