しかもトキ鉄は、直流電化の旧信越本線(妙高高原─直江津)を継承した「妙高はねうまライン」と、途中から交流電化の旧北陸本線(直江津─市振)の「日本海ひすいライン」の2路線からなる。山線と海線を直通し、両方とも満喫できる唯一の列車が「雪月花」というわけだ。
車内でのランチは往路が、新潟県出身でミシュラン二つ星レストランのオーナーシェフ、飯塚隆太氏監修によるフランス料理「雪コース」の三段重。復路は、糸魚川で約200年の歴史を誇る老舗日本料理店「鶴来家」5代目主人、青木孝夫氏による「月コース」。食事はもちろん、新潟の日本酒もお薦めである。
ところで昨年9月、トキ鉄の新社長に、前いすみ鉄道の鳥塚亮氏が就任した。早くも新観光列車を構想中とのこと。大いに楽しみである。
取材・文=櫻井寛
※『アサヒカメラ』2020年2月号より抜粋。本誌では観光列車の特集グラビアのほかに、スイスを走る「グルメ列車」も掲載している。