AERA2022年7月4日号より抜粋

熱心に耳を傾ける若者

 その4日前の12日には、さいたま市で国政与党が若者に向けた「フェス」があった。党支持者がいたということもあるだろう。時折激しい雨が降るなかでも、多くの若者が傘をさして立ったまま、ステージでトークをする若手活動家や政治家の話を熱心に聞いていた。会場となった屋外広場には20代のカップルや友だち同士、30、40代くらいの親子連れが目立った。

 公共交通機関で働く女性(25)は妹と参加した。

「雨でイベントの音声がちょっと聞こえにくいですが、若者のためと言って開いてくれたことがまずうれしいですね」

 さいたま市に住むコンサルティング会社勤務の男性(31)は言う。

「今の20代はSDGs(エスディージーズ)(持続可能な開発目標)とか社会に興味を持っていても、『意識高い系』とは言われません。昔より今の若者のほうが社会課題に関心があると思います。ただ、投票に結びつかないのは、誰にその思いを託していいのかわからないからです。政治家のツイッターを見ても人柄が伝わってこない。これでは誰かを応援したいと思ってもできない。結局、街頭演説を聞きに行って、候補者が真剣に考えているのか見極めるしかない。だから今日来ました」

(編集部・井上有紀子)

AERA 2022年7月4日号より抜粋

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