料理研究家・土井善晴さんの著書『一汁一菜でよいという提案』がベストセラーになっている。一汁一菜や日々の料理のこと、日本の食文化などについて、土井さんに聞いた。AERA 2023年1月16日号の記事を紹介する。
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土井善晴さんが上梓した『一汁一菜でよいという提案』(新潮文庫)は反響を巻き起こした。
「私自身に関して言えば、一汁一菜はもう古いかなと思っていて。さらに先へと進みたい」
今回の特集の趣旨(健康的に痩せる)について説明すると、土井さんはこう返した。
「一汁一菜なら結果的に適正体重に近づくでしょうね。健全な食事をとれば体調が整う。食べ過ぎたら太るのは当たり前です」
日頃から土井さんが口にするのは「毎日の料理にレシピは不要」という言葉だ。
「日頃の料理は何も考えないのが基本。何を作ろうかと思うことがストレスです。今あるものを何でもかんでも入れてみそ汁を作ればいい。おいしくないものは作りようがないんです。だしなんていらないですよ」
ただ、インスタントやレトルトの食品が全盛であるだけに、一汁一菜でも「自炊は面倒くさい」と感じる人もいるだろう。
「面倒くさいって言葉に今の人は逃げられるんですね。みんな一緒に面倒くさい、だから、いいと思い込みたいのでしょう。とやかく言うつもりはありませんが、ちゃんとするかしないかは自分の問題です。だけどみんなちゃんとしたほうがいいって知っているから、苦しいんですよね。そうでなければ、やらなければいいだけでしょ」
「一汁一菜さえ作ればノルマ達成。その上で、自分が食べたいもの、家族に食べさせたいものを作る。それは全部楽しみです」