こうした精神的な苦痛が重なり、女性は入社から1年ほどで社内で過呼吸を起こして倒れ、発達障害の二次障害であるうつ病が悪化して休職するに至った。一度復職したが、実際には何の仕事も与えられず、キャリア支援の名の下に転職を強いるものだったという。そしてその後「雇い止め通知書」を送付された。
雇用の分野における合理的配慮の提供は、改正障害者雇用促進法によって2016年から、民間企業であっても過重な負担でない限り義務付けられている。
この女性は、こうした合理的配慮を受けられず、雇い止めされたことを不服として、IT企業を相手取り、地位確認や損害賠償を求めて昨年7月に東京地裁に提訴している。なお、編集部が同社に取材を申し込んだところ、「係争中の案件のためコメントは控える」旨の回答があった。
女性は、「合理的配慮」についての認識に、障害者と健常者の間でギャップがある、と指摘し、社会の問題として広く知ってほしいと望んでいる。
(編集部・高橋有紀)
※AERA 2022年12月19日号より抜粋