■受験生はシビアに見る
女子枠は名古屋大学工学部や芝浦工業大学も設けるなど、女性が少ない工学部系で導入される傾向がある。
ただ、女子枠を作れば、女性が増えるわけではないという。駿台予備学校の進学情報事業部長、石原賢一さんは言う。
「その大学で本当に女性が活躍できるのか、環境はどうなのかと受験生はシビアに見ています。大学の中身が変わらないと厳しいでしょう」
23年の大学入学共通テストの志願者は女性が45%と、男女比はほぼ半々。だが、石原さんはこうも指摘する。
「難関大学の工学系に進学する女性が少ないのは、優秀な女性が医学部に進むからだと思います。また、推薦入試を使いたい女性もいます。一つの入試方法を固持するのは時代に合わないと思います」
総合型・学校推薦型選抜を活用して女性の学生を増やすのが今後の流れになりそうだ。
卒業生を受け入れる企業側はどう見るか。経団連の長谷川知子常務理事はこう話す。
「多様性向上に向けた大学の動きを歓迎しています。数字の達成だけが目的化しないように留意しつつ、企業としても女性の活躍を強力に推進してまいります」
(編集部・井上有紀子)
※AERA 2023年1月16日号より抜粋