すんなり決まったのはGRIIIだけではない。タムロンの28-75ミリメートル F/2.8 Di III RXD(Model A036)も、特に反論もなく決まった。レンズ賞の投票でも、記者クラブ担当者10人のうち6人がこのレンズに投票している。
カメラ記者クラブ賞の数に制限はなく過去には3製品に贈ったこともあるが、今回はこの2製品以外に選出するという話にはならなかった。
旗艦機でなかった ニコンとキヤノン
昨年のカメラグランプリ2018の報告では、来年はニコン/キヤノンのミラーレス機になるのか?と予想した。製品として出てきたという点では予想は当たったが、ニコン/キヤノンが受賞できなかったという意味で半分は外れともいえる。
振り返ってみれば一般読者投票の「あなたが選ぶベストカメラ賞」ができた08年以降、ニコンかキヤノンのどちらかは、何かしらの賞を取っていたのだが、今年は両メーカーとも逃している。
もちろん、ニコンZやキヤノンRシリーズも十分に大賞やレンズ賞に選ばれてもおかしくなかったと思う。そして、重要なのは、ニコンZ 6/7もキヤノンR/RPも、いわゆるフラッグシップ機ではないということだ。来年開催される東京オリンピックでの報道カメラは、今の流れでは一眼レフも使われるだろう。しかしニコンやキヤノンの動き次第では一気にミラーレスに傾く可能性もあるのではないだろうか。両社が今後どのような戦略をとってくるのか。もちろんカメラグランプリの大賞の選考でも無縁ではない話だ。なお、カメラグランプリ大賞は15年のEOS 7D MarkIIを最後に一眼レフは選ばれていない。
写真・解説:猪狩友則(本誌、カメラグランプリ2019実行委員長)
※アサヒカメラ2019年6月号より抜粋。なお、本誌ではカメラグランプリ2019の大賞、レンズ賞の全投票結果と配点を一覧にしているので、ぜひチェックしてほしい。