小町ちゃん(撮影・小黒冴夏)
小町ちゃん(撮影・小黒冴夏)

 それでも小町ちゃんと出会うまで、能町さんは「偶然、雨の中で濡れそぼった子と出会いでもしたら」と、積極的には動かなかった。

 ユーチューブで猫動画を見たり、猫欲を満たすために猫カフェに行ったりしていたころ、思いがけず、保護猫の飼い主を探しているという話が母から舞い込んだ。

 送られてきた写真の猫は、今までユーチューブであらゆる猫を見てきたと自負する能町さんが「世界一かわいい」と断言できるほど、まばゆい光を放っていた。

 能町さんの猫愛の歴史と、小町ちゃんを迎え、暮らし始めたころのエピソードは、著書『私みたいな者に飼われて猫は幸せなんだろうか?』にも、たっぷりと描かれている。

 小町ちゃんを迎えに行くまでの2週間、名前を考えたり、生活用品を揃えたり、能町さんが“猫ハイかつネコニティブルー”に陥っている様子は微笑ましい。そして、一つの命を一生、預かることの重さと意味も同書の軽妙な文章の奥底から伝わってくる。

 能町さんが小町ちゃんと暮らし始めて丸3年。体重が3キロを少し超えるくらいの小柄な小町ちゃんは、能町さんに一生懸命、話しかけてくる甘えっ子だ。

「朝晩がとくに甘えモードです。夜、リビングで一緒にくつろいでいても、私が寝室に行くために階段を上るとトットットとついてきて、すごい勢いで追い抜くこともあるくらい。ベッドに入り、掛け布団を持ち上げると、するっと入ってきて、足の間で丸くなるんです。でも、途中で暑くなるんでしょうね。目が覚めたときは、掛け布団の上で寝ています」

■小町に合わせて規則正しい生活

 寝る前と朝の起き抜けは、能町さんと小町ちゃんの濃密なグルーミングタイム。小町ちゃんはベッドに座る能町さんのひざの上に乗っては下りる動作を30往復くらい繰り返す。その間、頭を能町さんの胸や腕にこすりつけることも忘れない。

「小町と寝るようになってから、規則正しい生活に変わりました。執筆が長引いて夜更かしすると、明らかに私も小町も生活のリズムが狂っちゃうんです。だから、小町が寝たいと言ったときに私も寝ないとダメだなと思うようになって」

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