「経済」部門では、「バブル経済」(1990年 ※「バブル」で検索)がヒット数1位に。それにしても1990年というのは、意外。いわゆるバブル景気は86~91年頃と言われ、当時20代でブイブイ言わしていた自分のなかで、「バブル」という名前がついたのは崩壊後のことだ。バブルまっただ中には、「当たり前の好景気」と思い込んでいた記憶がある。
いつか弾ける「バブル」と知っていたら、散財をやめて堅実に貯金に励んだのに。当時は、早く言ってよ~と、神さまに文句を言ったものだが、なんだ。90年にはすでにその不吉な名は広まっていたらしい。
経済か政治か、どちらに入れるか迷った「アベノミクス」(2013年・安倍晋三内閣総理大臣)も、経済部門の10位以内に入るなど、なかなか検討。もしも政治部門で見たら「忖度」(2017年・稲本ミノル)をおさえて5位にインだ。
最後は「サイエンス・テクノロジー部門」。個人的に、この部門で今も使っているのは、「STAP細胞はありま~す」(2014年)なのだが、こちらノミネートはしたもののトップテン入りはなし。「スマホ」(2011年・AND market 霞が関ほか)が、「インターネット」(1995年・村井純慶応義塾大学教授)を抑えて、この部門の22語中1位になった。
「インターネット」が登場した当時、その言葉の爆発感はすごいものがあった。ほとんどの人は、インターネットが何たるかをわかっていなかったけど、とりあえず「未来の物」とか、「カッコいい物」の代名詞として使っておけ、みたいな。「INTERNET」という文字が描かれたペンケースやお弁当箱、車体に「INTERNET」と描かれただけの「インターネット自転車」まで発売されたり。かたや「スマホ自転車」はいまだに聞いたことないから、ヒット数は多くても、格としてはまだまだってことだろう。
そういえばヒット数が多くて当然なので、ランキングの対象外としたが、「平成」(1989年特別賞)も、今現在9桁のヒットがある過去の受賞語のひとつ。その平成の次の時代も、「インターネット」くらいワクワクする新語流行語の登場に、期待してます。(文/福光 恵)