「肺がん」手術数と5年生存率 (「手術数でわかる いい病院2019」から)
「肺がん」手術数と5年生存率 (「手術数でわかる いい病院2019」から)

 18年3月に閣議決定された第3期がん対策推進基本計画では、「国は、国民が必要な時に、自分に合った正しい情報を入手し、適切に治療や生活等に関する選択ができるよう、科学的根拠に基づく情報を迅速に提供するための体制を整備する」としていることも背景にあるようだ。

 公表されたデータは、08、09年にがんと診断された約50万人の患者が対象となっており、乳がん・胃がん・大腸がん・肺がん・肝臓がんの主要5部位の病期(ステージI~IV)ごとの5年生存率が出ている。なお、公表を差し控えている病院もある。

 本誌は、このデータの診断年である09年に着目。09年の手術数を掲載した『いい病院2011』の全国ランキング30位までの病院について、国立がん研究センターの5年生存率データをひもづけた表の作成を試みた。つまり、09年当時、手術数が多かった病院の治療成績はどんな結果だったのかを検証しようという狙いだ。ただし、5年生存率の対象は、手術だけでなくその他の治療も含まれている。

 がん別に作成した表には、病院の全体平均とステージ別の5年生存率を掲載し、全国平均値との差を併記した。わかりやすいように、平均より10ポイント以上高い値を赤、平均より0~10ポイント未満高い値をオレンジ、平均より0~10ポイント未満低い値を水色、平均より10ポイント以上低い値を青とした。

■肺がん 診断と治療のリンクが5年生存率を高める

 肺がんは、がんのなかで年間死亡者数が1位。根治するには手術を受けられることが前提だが、手術可能な段階で発見されるのは4割程度だ。国立がん研究センター中央病院呼吸器外科科長の渡辺俊一医師はこう話す。

「肺がんについては、手術数が多い病院が、他の治療も充実していて総合力があり、5年生存率も高いということが総じて言えると思います」

 同院は、『いい病院』創刊以来、手術数全国1位を維持し、5年生存率は全体で60・6%と全国平均(35・2%)より25・4ポイント高い。各ステージの5年生存率も軒並み全国平均よりかなり高いポイントだ。表にある実測生存率は、他病死も含む、がんと診断された患者の生存率だ。他病死を除いた相対生存率よりも、数値が低くなる。

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生存率に関係してくる正確な診断