「ツイッターで見かけた、大けがをした保護猫の治療費を弊社が負担したり、保護活動をする団体や個人に寄付をしたりすることもあります。企業として直接的な活動はできませんが、これからも社会的な支援を続けていきたい」(福田さん)
同社の採用基準ははっきりしている。「どんな職種でも、猫のために全力を尽くせる人、ですね」
職場に猫がいる企業はいまでこそ珍しくなくなってきたが、24時間、猫がオフィスに「常駐」している企業はそう多くはないだろう。
東京都杉並区に「ネコビル」を構えるIT企業、qnote(キューノート)には、現在8匹の「猫社員」が暮らしている。
夜間と休業日の土日は社員有志が交代で面倒を見に通う。同社には19年前の創業当時から猫がいて、初代猫のふたばちゃんは今も健在だ。
代表取締役の鶴田展之さんは、「猫っていろんなものを引き寄せるんですよ」と話す。最初は「猫のいるオフィスでみんな楽しく仕事ができればいいな」と思っていたが、次第に猫を通じて人や情報のネットワークが広がり、保護猫活動の現状と課題についても思いをいたすようになった。「会社として貢献できることはないかと考えるようになりました」(鶴田さん)
現在、ビルの1階で関連会社が経営するカフェでは、会場を提供して保護猫譲渡会なども開かれている。伊豆に建設予定の教育施設には保護猫シェルターを併設する計画もあるという。
「もちろん世話は大変ですが、仕事の苦労に比べたらどうってことありません。いいことばかりではないけれど、社員が学べることも多い」という。
猫の保護活動への直接的・間接的な貢献をCSR(企業の社会的責任)と位置づけられれば、パブリックイメージのプラスにもつながると鶴田さんは考えている。
「不幸な猫を減らすために、保護猫のことを考える企業がこれからもっと増えればいいなと思っています」
(ライター・浅野裕見子)
■善意の保護活動にもSDGs
岐阜県に拠点を置くネコリパブリック(以下、ネコリパ)は、保護猫カフェの運営をメインに、保護猫関連の事業を多角的に展開している企業だ。