僕の学生時代はクラスに1人だったけど、いまは1クラスに3人、4人いる時代ですよね。それなのに、日本のドラマで外国の人はほぼ出ていないじゃないですか。みなさん海外のドラマ見てください、アジア系の人もアフリカ系の人も3人ぐらいいますよ。日本のドラマでも違う国の人がいていいし、学園ドラマにハーフが3人ぐらいいてもいいわけですよ。むしろもっといてもいいぐらい。僕がデビューして10年以上経ちますが、ハーフの俳優はなかなか出てこないし、それだけ日本はガラパゴスなんだなと思います。いまでも扱いづらいと思われていて、僕は本当に異分子だった。偶然と奇跡が切り開いた道を進んできていまここにいるんです。だからこそ、後に続いてくる子たちを「こっちだよ」って引っ張ってあげたいんですよね。
――女子テニスの大坂なおみ選手が全米オープンを制覇したときも、国籍のことが話題になりましたね。
ああいうのを見ていると、どこに言ってもここだという居場所がない我々からするとズルいなと思う。良いときだけ「日本人初」って持ち上げるくせに、都合が悪くなったら「やっぱり外人だから」って言うんですよ。その人の個性とアイデンティティーである国とが、必ずしも一致するわけじゃない。もちろん僕だって「ラテンの血が入ってるから明るいんですよ」とは言いますけど、ネタみたいに周りがとやかく言うものじゃないんです。
昔に比べたら差別が無い時代ですが、実はめちゃめちゃあるんですよ。みんな悪気はなくても、勝手に区別しているんです。「あの子は外国の血が入ってるからこういうマインドなのよ」とか「彼はスペイン人だから……」って言われることも、僕にとっては差別なんですよ。いろんな経験をしてきて、最近はこれが差別の始まりなんだなと思います。
――そういう状況も中から変えたいということなんですね。
そうですね。次世代のイケメン俳優ランキングとか、そこから出てくる子はいっぱいいるのに、ハーフはほとんどいないんですよ。単純に目指してる子がいないのかもしれないんですが、たぶん夢を持っているけどなかなか踏み出せないとか、いまの時代にも昔の僕と似たような思いを抱えている子たちがいると思うんです。それを考えると胸が痛い。人種とかハーフとかに関わらず、そういう子たちの可能性を少しでも広げてあげたいし、城田優っていう俳優のことを知って、「じゃあ僕も私も頑張ろう」って思ってくれたら嬉しい。それは僕がいまプレイヤーとして活動している意味の一つになっていて、落ち込んだときに自分を奮い立たせてくれますね。
(聞き手/AERA dot.編集部・金城珠代)