難民の数は現在、過去数十年で最大の6800万人にもなる。本書は編著者の滝澤三郎・国連UNHCR協会理事長の呼びかけで研究者、政策担当者、経営者、弁護士、学生、難民当事者らが寄稿。世界の難民の窮状と各国の取り組みなどを紹介する。
4章では難民支援の具体例として、飲食店などを開く際に助言する「難民起業家支援」や、自宅に難民を泊める「難民ホームステイ」などを紹介。日本でもアイデアあふれる支援が行われていることに驚かされる。
5章では、難民の喪失体験を疑似体験し、最後に「いのち」だけが残った状況を想像するワークショップ「いのちの持ち物けんさ」が紹介され、「想像力を使って思いを寄せることで、私たちにもできることは必ずある」と訴える。難民問題の入門書としてお勧めの一冊だ。
※週刊朝日 2018年9月14日号
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