昭和33年ごろの不二家の店頭(写真は不二家提供)
昭和33年ごろの不二家の店頭(写真は不二家提供)

 さて高齢の読者なら覚えているだろう。かつてデコレーションケーキといえば、バタークリームケーキだった。

 それが生クリームに代わっていった理由について、日本洋菓子協会連合会が説明する。

「60年代以降、家庭に冷蔵庫が置かれ、生クリームのケーキの保管ができるようになったことが大きいです。また、バタークリームケーキの質にも問題がありました。当時は高価なバターを使わず、ショートニングなど植物性油脂で作るところが多かった。いわば偽物バターでしたので、味がよくなかったんですね」

 不二家は、クリスマス以外のイベントでも食べるような“習慣づけ”を促してきた。

「洋菓子需要を広げるため、ひな祭り、こどもの日、七五三など日本の祭事でも食べていただくようキャンペーンを打ってきました」(橋本さん)

 また、味についての工夫も怠らない。

「昔のイチゴは酸味が強かったのですが、どんどん甘くなってきました。それに合わせるように、クリームやスポンジの甘さなどの品質改良を行っています」(同)

 年によってイチゴの出荷状況も変わる。2019年には、台風19号の影響で栃木県のイチゴ農家が大きな被害を受けた。幸い今年の作付けは順調。美味なる100年ショートケーキでクリスマスを楽しめそうだ。(本誌・菊地武顕)

週刊朝日  2022年12月30日号

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