あまおう苺たっぷりの贅沢クリスマスショートケーキ(写真は不二家提供)
あまおう苺たっぷりの贅沢クリスマスショートケーキ(写真は不二家提供)
この記事の写真をすべて見る

 シリーズ「100年企業」探訪。まもなくクリスマス迎える今回は不二家。プレゼント交換とともに楽しみなのは、やはりケーキだろう。真っ先に思いつくのは、たっぷりのクリームにイチゴがのったショートケーキ。実は日本生まれだと知っていましたか?

【写真】不二家の初期のクリスマスケーキがこちら

*  *  *

 クリスマスのご馳走といえば、なんといってもローストチキンとイチゴのショートケーキ!

 日本洋菓子協会連合会によると、

「近年はブッシュ・ド・ノエルなどを楽しむ方も増えましたが、まだまだイチゴのショートケーキの人気が高いですね。正確な数字は把握できていませんが、だいたい3~4割を占めています」

 クリスマスだけではない。イチゴのショートは、普段でも最も消費量の多いケーキである。

 もはや日本人の国民食といっても過言ではないが、それもそのはず。このケーキは、日本で誕生したのだから。

 ショートケーキの開発者が誰であるかは、定かではない。不二家という説もあれば、コロンバン創業者の門倉國輝氏という説もある。

 不二家が初めてショートケーキを発売したのは、今からちょうど100年前の1922(大正11)年だった。

不二家の創業者・藤井林右衛門氏(写真は不二家提供)
不二家の創業者・藤井林右衛門氏(写真は不二家提供)
初期のクリスマスケーキ(明治43年、復元)[写真は不二家提供]
初期のクリスマスケーキ(明治43年、復元)[写真は不二家提供]

 同社の歴史は、1910(明治43)年に藤井林右衛門氏が横浜・元町に小さな洋菓子店を開いたことに始まる。

 同年12月には「クリスマスケーキ」も発売した。当時の資料によると、このケーキはプラムケーキなどのフルーツケーキに糖衣を塗り、銀玉をつけたものだった。

 藤井氏はより高い技術を求めて、1912年に渡米。翌年に帰国し、横浜に停泊する外国船があれば菓子職人を探し、指導してもらったり、働いてもらったりした。フランス人から製菓技術を教えてもらうこともあったという。

 そうして技術を磨いたうえで、ショートケーキを作ったのだ。

「アメリカ式のショートケーキを日本人好みにアレンジすべく、フランスの技術を取り入れて独自のショートケーキを作ったのではないかと考えられます」

 と説明するのは、同社広報室の橋本慎也さん。

次のページ