シリーズ「100年企業」探訪。まもなくクリスマス迎える今回は不二家。プレゼント交換とともに楽しみなのは、やはりケーキだろう。真っ先に思いつくのは、たっぷりのクリームにイチゴがのったショートケーキ。実は日本生まれだと知っていましたか?
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クリスマスのご馳走といえば、なんといってもローストチキンとイチゴのショートケーキ!
日本洋菓子協会連合会によると、
「近年はブッシュ・ド・ノエルなどを楽しむ方も増えましたが、まだまだイチゴのショートケーキの人気が高いですね。正確な数字は把握できていませんが、だいたい3~4割を占めています」
クリスマスだけではない。イチゴのショートは、普段でも最も消費量の多いケーキである。
もはや日本人の国民食といっても過言ではないが、それもそのはず。このケーキは、日本で誕生したのだから。
ショートケーキの開発者が誰であるかは、定かではない。不二家という説もあれば、コロンバン創業者の門倉國輝氏という説もある。
不二家が初めてショートケーキを発売したのは、今からちょうど100年前の1922(大正11)年だった。
同社の歴史は、1910(明治43)年に藤井林右衛門氏が横浜・元町に小さな洋菓子店を開いたことに始まる。
同年12月には「クリスマスケーキ」も発売した。当時の資料によると、このケーキはプラムケーキなどのフルーツケーキに糖衣を塗り、銀玉をつけたものだった。
藤井氏はより高い技術を求めて、1912年に渡米。翌年に帰国し、横浜に停泊する外国船があれば菓子職人を探し、指導してもらったり、働いてもらったりした。フランス人から製菓技術を教えてもらうこともあったという。
そうして技術を磨いたうえで、ショートケーキを作ったのだ。
「アメリカ式のショートケーキを日本人好みにアレンジすべく、フランスの技術を取り入れて独自のショートケーキを作ったのではないかと考えられます」
と説明するのは、同社広報室の橋本慎也さん。