AERA2022年12月26日号より
AERA2022年12月26日号より

「保護者が見るだけのための設置は、保育者が見張られている感覚を持つので反対です。でも職員を守るために設置する園もあります。保護者には配信せず、防犯カメラとして使用する園もあります。使い方をていねいに確認しながら、保育の質の向上に使うことが求められます」 

 子どもを暴行から守るためには、保護者からの目も大切になってくるが、コロナ対策で目が届きにくくなったケースもある。山形県の自営業の女性(46)は、1歳児クラスに通う孫を送迎しているが、いまだに担任の先生の顔を知らない。 

「お迎えに行くと、玄関先でお迎え担当の先生が孫を引き渡すので保育室には入れません。今日の様子を聞いても『ちょっと私じゃ分からないです』と言われます。手書きの連絡帳もなく、園との連絡は全部アプリ。孫は『先生大好き』というので心配はしていませんが、万が一の被害は防ぎようがないかなって思います」 

■親は違和感を大事に 

 中が見えない場合、家族が子どもの様子をより気に掛ける必要がある。乳幼児の心理に詳しい杏林大学の脇谷順子教授は、“違和感”を大事にしてほしいと助言する。年齢が小さいほど心と体は密接な関係となるため、体の変化がある時は注意が必要だと話す。特に観察したいのは食事、排泄(はいせつ)、睡眠といった生命維持に関わる部分だ。風邪症状でも見られるものの、 

「食に関する変化や、便秘や下痢をしたりなど、普段と異なる様子が見られる時は気をつけてほしいです」(脇谷さん) 

 そして、症状について保育士に相談することを勧める。その際、保育士がどのような対応をしてくれるかも大事な観察ポイントだという。危うい保育がまかり通ってしまう園では、保育士同士のコミュニケーションがうまくいっていないケースがあるからだ。脇谷さんは続ける。 

「親御さんが質問した際にどのように対応してくれるのかを見てください。また、行事で園を訪れた時などに保育士同士のやりとりの様子を見るのも一つの方法です」 

 保育の大前提となるのが信頼だ。子どもと保育士、保護者と保育士、保育士同士の風通しを良くし、お互いを尊重する。それが解決への第一歩となりそうだ。(ライター・大楽眞衣子、フリーランス記者・宮本さおり)

AERA 2022年12月26日号より抜粋

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