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最初は投手8人、打者10人でスタートした名球会。投打のバランスはよかったが、時代とともにそれは崩れた。NPBの通算成績では、2千安打の打者が54人いるのに対し、200勝投手は24人。2千安打に相当する勝利数54位は143勝だという。150勝するのも2千安打より難しいという状況では、「勝利数」だけで判断することは厳しくなった。
そして「名球会」の果たすべき役割ということも、時代に合わせた変化を求められた。野球人気の低迷が叫ばれ、本来なら名球会が先頭に立って野球教室を含めたイベントなどを開催していきたいところだが、会員の年齢とともにどうしてもその存在価値は薄れてしまっている。
かつて「名球会」というものが、プロ野球界に入る選手の一つの「目標」となっていたが、実際に今はどうだろう。本来、スター選手だった者が、一堂に会して野球界に貢献できていたことが、できなくなっている。会員の野球界へ恩返ししたいという思いは、まだ強い。今回の改革には、会員のそんな思いも詰まっている。
明確な基準ではないため、かつて名球会にあと一歩で届かなかった選手の扱いをどうするのかという問題も残っている。「何であの選手が入って、この選手は入っていないのか」などの意見も出てくると思う。時代が違えば求められる数字も変わり、年代の異なる選手を比較することは難しくなる。ただ、変化を恐れては何もできない。野球という歴史あるスポーツを今後につなげていくために、今できることをやっていきたい。
2022年もあと少しになりました。みなさま、よいお年をお迎えください。
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
※週刊朝日 2023年1月6-13日合併号
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