渋谷の美容院でスタイリストをつとめる私のもとを訪れるお客様は、男女はもちろん年齢も様々な方で構成されます。さらに秋になると、夏のダメージ回復を兼ねてのご来院や、気分転換を兼ねたヘアスタイルチェンジ、秋色のカラーリングを希望するお客様が多くなります。そうしたお客様と接するなか、年間を通して頭髪に関する様々な質問を受けます。
昨日は10月20日「頭髪の日」に際し、頭髪についての基本的な内容について触れましたが、本日はお客様から受ける質問の中で多いものをチョイスし、私が普段お客様にお話ししている内容をご紹介します!

頭髪について、どんな悩みを持っていますか?
頭髪について、どんな悩みを持っていますか?
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「最近、髪の毛が細くなってきている気がするのですが……」

昨日の記事では、
「頭髪のダメージにもいろいろな種類がある」「頭髪のダメージ・サイクル」「頭髪は平均10〜12万本あると言われ、毎日100本ほどが抜ける」といった内容について触れながら、「シャンプーをするたび髪が結構抜けてるのですが、大丈夫ですか?」という質問についても触れました。そこで本日は、さらにいくつかの質問に絞って頭髪についてのあれこれをご紹介することにします。まずは、
●「最近、髪が細くなってきている気がするのですが……」という質問についてです。
この質問は、30代より上の世代の男女の方からよく受ける質問なのですが、最初に髪の毛には「頭髪サイクル」があり、平均4〜6年で抜けて生え変わることを理解しておきましょう。
そのうえで「髪の毛が細くなってきている気がする」と感じている方の場合は、理由のひとつとして「頭髪サイクル」の循環年月が減少していることが挙げられます。本来であれば太く成長していく髪の毛が、頭髪サイクルの乱れによって細い状態のまま抜け落ちてしまうことで、頭髪が細くなっていると感じてしまうのです。
さらに、加齢によるホルモンの影響から「頭髪サイクル」が乱れると、全体に髪が細くなった……、髪に張りがない……、頭髪の隙間から地肌が見える……などといった現象も起きるとされています。

平均4〜6年で抜けて生え変わる「頭髪サイクル」
平均4〜6年で抜けて生え変わる「頭髪サイクル」

「どんなものを食べると、髪によいですか?」

次にお客様から受ける質問の中で多いものが、
●「どんなものを食べると、髪によいですか?」です。
こんな質問をされる方は、「やっぱり、わかめとか海藻類がいいんですか?」「バランスのよい食事っていうけど、現実的にはけっこう難しくて……」と言葉を継ぎます。
でも最近は、様々な研究によって「わかめを食べても髪は育たない」といった発表もなされていますが、頭髪の健やかさは健康のバロメーターとも言われていることも確かです。では何をどれくらい食べれば、健やかな髪の毛を維持できるのでしょうか……。
答えとしては、何かひとつの特定食材が頭髪によいと考えるのではなく、健康な髪の毛を保ち、正しいサイクルで髪の毛を生育していくためには、栄養バランスが重要な役割を果たしていると考えることが適切のようです。
例えば、炭水化物絶ちのダイエットをしている人は、ダイエットによるストレス+偏食による影響が頭髪に及んでいるはずですし、深酒してシャワーを浴びる時間がとれず、皮脂を洗浄しない頭皮のままで日中活動している人も、やはり頭髪に悪影響が及んでいることは確かでしょう。
要は、タンパク質、糖質、脂質といった三大栄養素をバランスよく摂取し、頭皮&カラダを清潔に保ち、快眠をとることが健康な頭髪を最善の方法であることは間違いないようです。

体のためにも髪の毛のためにもバランスのよい食生活を
体のためにも髪の毛のためにもバランスのよい食生活を

「増えてきた白髪、なんとかなりませんか?」

●「最近増えてきた白髪、なんとかなりませんか?」。
この質問もとても多いのですが、白髪については諸説あります。
過酷なストレスが生じると、人の毛髪は一気に白髪になるという説があり、歴史を振りかえってみても、フランス国王ルイ16世の王妃マリー・アントワネットが処刑される事実を知って、そのストレスから一晩のうちに髪が真っ白になったというエピソードも有名ですね。
逆に、短時間で黒い髪の毛が白髪に変わるのは、科学的見地からも生理的反応からもありえない……という説もあります。
急激な白髪が発生することには諸説ありますので、ここではどちらが正しいか言及しませんが、過度なストレスが加わると(加わったことを要因と考えた結果)、円形脱毛症になる、白髪が増えるといった事実は実際にあるようです。
反面、いっときの強いストレスなどによって急激に増えた白髪は、そのストレスの解消とともに黒髪に戻るともいわれていますが、加齢による白髪は、何を食べても、どんな策を講じても、黒い髪に戻ることはない、とされています。
しかし、頭髪育毛剤などの研究が進んでいる今、髪の毛については過去の常識が覆る可能性を秘めたジャンルでもあることは間違いないでしょう。

ダメージのない髪こそ、ヘアスタイルをまとまりやすくするのです
ダメージのない髪こそ、ヘアスタイルをまとまりやすくするのです

「トリートメントは毎日したほうがいい?」

次に●「トリートメントは毎日したほうがいいですか?」の質問です。
この質問に対する回答はケースバイケースですが、パーマをかけている人、カラーをしている人、毎日アイロンで髪をストレートにしたりカールを出したりしている人は、頭髪に日々ストレスが加わっていることで、髪の毛のタンパク質が流失してしまっていると考えることができます。そうした人はトリートメントを毎日することによって、よりスタイリングがしやすい頭髪を保てることが期待できます。
── 頭髪のこと、いろいろわかっていただけましたでしょうか?
人それぞれ様々な頭髪についての悩みがありますが、髪の毛に関してはまだまだ奥の深い、これから発展していく分野です。髪は女性の命ともいわれますし、最近では頭髪について男性の意識も高まってきていますので、10月20日の「頭髪の日」を機に、日々の習慣を見直して健康な頭髪育成を心がけてみてくださいね。