番組スタートから1年を迎え、「パンサー向井の#ふらっと」のスタジオにもなじんできた。コロナでできなかったスタッフとの食事会も開かれ、コミュニケーションがより円滑に(撮影/品田裕美)
番組スタートから1年を迎え、「パンサー向井の#ふらっと」のスタジオにもなじんできた。コロナでできなかったスタッフとの食事会も開かれ、コミュニケーションがより円滑に(撮影/品田裕美)

■新番組でストレスをためる 楽しくなくちゃ続かない

 しかし、向井にとって曜日を通して担当する帯番組は初めて。今までやってきたラジオはスタッフが数人だったのに対して、「ふらっと」は曜日ごとにチームが変わり、総勢50人ほどが関わる。それだけでもプレッシャーだった。内容も自分の好きな話をする夜の番組とは異なり、台本に沿って企画やゲストコーナーを進めていく。違いに戸惑い、ストレスをためていった。

「結構苦しかったのが夏ぐらいですね。何十年も続くTBSラジオの朝の番組という看板みたいなものを勝手に背負っちゃって、何か含蓄のあることを言わなきゃと思っていたら、しんどくなってしまった。このままじゃ無理だなって」

 追い詰められていた7月にコロナウイルスに感染する。しばらく番組を休むことになり、自宅で療養しながら自分の代打のパーソナリティーによる「ふらっと」を聞いた。楽しかった。自分も楽しくなければ続けられないことに気づき、肩の力が少し抜けた。

 向井は学生時代にお笑いの世界に入り、2008年からお笑いトリオ「パンサー」のツッコミとして活動。13年に「笑っていいとも!」の週替わりレギュラーにもなった。「有吉の壁」(日本テレビ)、「王様のブランチ」(TBSテレビ)など、向井をテレビで見ない日はない。

 特筆すべきはラジオだ。「#むかいの喋り方」(CBCラジオ)、「パンサー向井のチャリで30分」(ニッポン放送)、「又吉・児玉・向井のあとは寝るだけの時間」(NHKラジオ第1)、そして「ふらっと」と、ラジオで四つのレギュラー番組を持つ人は全国でも珍しい。「令和のラジオスター」ともささやかれている。

 芸人仲間であり、友人のハライチ・岩井勇気(36)は、「芸人だったら向井くんのすごさはみんな分かる」と話す。

「向井くんがいると助かるんです。ほしいつっこみをくれるし、ボケがわかりにくければ、さりげなく説明しながらつっこんでくれる。面白いところを引き出してくれるから、すごいやりやすくなる。サッカーでいうとミッドフィールダー。ストライカーにシュートを打たせる立ち回りがすごい」

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