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●各局「森友学園」を丁寧に報道 真実に迫ろうとした「報道特集」

 大阪の学校法人「森友学園」をめぐる疑惑は、安倍政権を激しく揺さぶりながらも、すっきりしない展開になっている。疑惑は4つ。国有地が法外に安い価格で払い下げられたのは何故か。小学校の設置が実質認可されたのは何故か。そこに政治家や、安倍首相夫人の関与、さらには「忖度」があったのか。学園への寄付はどうかである。疑感がメディアで初めて報じられた2月9日から2カ月たっても、政府の不誠実な対応も壁になり、4月7日現在、真相はまだ闇の中だ。

 これでは国民が納得するはずがない。それは3月下旬に実施された共同通信の世論調査で、「国有地払い下げの経緯を、政府は十分に説明したと思うか」との質問に、82.5%の人が「説明していない」と答えていることからも明らかだ。

 各局はこの学園の問題を、ニュースでかなり丁寧に報道した。その結果見えてきたのは、学園の経営する幼稚園が、園児に教育勅語を斉唱させるなど、きわめて特異な教育を行ってきたことや、これに共感する自民党の政治家が、予想外に多い事実である。外国メディアがもっとも関心を寄せたのは、この右寄りの教育に共感する日本の政治家の存在だという。世界の趨勢とあわせ考えれば、当然の反応だろう。

 疑惑の解明が進展しない背景には、メディアの責任もある。第一報こそメディアだったが、学園の実態を伝えた後は、学園側と官邸側の暴露合戦とそれに伴う国会質疑を受け身で報じているだけで、自前の取材はほとんど見られない。これでは謎解きが進まないのは当然で、メディアの存在が問われる事態だ。

 そのなかで独自の動きを見せたのは「報道特集」(TBSテレビ)だ。3月4日の放送分では金平茂紀キャスターが大阪に飛び、問題を最初に提起した豊中市会議員を訪ねるなど、多角的な取材を試みた。また2003年当時、学園がすでに園児に愛国行進曲を歌わせていた映像なども紹介した。撮影は「JNN」とあったから、これは地元、毎日放送の撮った映像だろう。つまり毎日放送は14年前すでに、この学園に問題意識を抱いていたことになる。とすれば同局の記者に語らせて、取材の蓄積を生かすことが望まれた。

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