3月12日の「報道ステーション」(テレビ朝日)では、朝日放送の記者をスタジオに招いていた。噂では「報道特集」のスタッフも、当該記者に出演を求めたのだが、応じてもらえなかったのだとの話も聞く。もし本当なら、視聴者のため、何としてでも口説き落としてほしかった。また「報道特集」3月25日放送分では、渦中の人、森友学園の籠池泰典理事長と松井一郎大阪府知事へのインタビューを試みた。籠池氏が国会証言後に記者に話すのは初めてだし、松井知事の単独インタビューも珍しい。期待したが、ともに突っ込み不足、準備不足で不発だった。だが何とかして真実に迫ろうとする姿勢は評価できた。

●フェイクニュース発言の西田議員 情報番組の悪ふざけは不愉快

 ところで一連の報道のなかで、合点がいかないこともいくつかあった。例えば読売テレビの夕方のローカルニュース「かんさい情報ネットten」は、第一報の2月9日からかなりの間、森友学園のニュースを伝えなかった。いったいどんな判断があったのか、官邸や学園への忖度があったとも思えないし、不思議である。また3月6日、自民党の西田昌司議員は参議院予算委員会で、「国有地の売買契約に関しては、行政側、学園側ともに何の瑕疵もない。にもかかわらずメディアは印象面だけで、この問題を取り上げている。これはトランプ大統領の言うフェイクニュースだ」と発言した。この聞き捨てならない「フェイクニュース」発言を、どのニュースも扱わなかった。「論じるに足りない」との判断だろうが、メディアへの真正面からの挑戦である。しっかり反論することが望まれた。

 不審といえば、こちらは報道姿勢と別の問題だが、3月1日、共産党の小池晃書記局長は、参議院予算委員会で、自民党の鴻池祥肇事務所の面談記録を材料に質問した。だがこの面談記録は何故、小池議員の手にわたったのか。小池、鴻池、いずれの側からも説明がないままだ。メディアの手で真相を伝えてほしい。

 なおこの森友問題は情報番組でも、連日大きく取り上げられたが、ひどい内容のものが目についた。例えば3月25日の「あさパラ!」(読売テレビ)では、番組進行役の女性が、首相夫人付きの政府職員、谷査恵子氏の話題を取り上げた際、「この査恵子という名前は、いかにも査察好きの官僚向き」と揶揄するような形で紹介し、スタジオの笑いをとっていた。権力の不正を糾弾するのはメディアの大事な役目だが、相手が役人だというだけで、人格を無視するような発言を冗談まじりですることには賛成できない。

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?
次のページ