中日・柳裕也(写真/日刊スポーツ)
中日・柳裕也(写真/日刊スポーツ)
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 逆転でのCS進出を目指す中日。8月は8勝13敗と負け越し(8月26日時点)、借金が12にふくらんだが、まだまだチャンスはある。3位・DeNAは借金5で3.5ゲーム差。残り試合が少なくなる中、勝ち続けるしかない。13年ぶりのCS進出が実現すれば、FA権を取得した選手の去就にも影響する可能性がある。

【写真】今季前半戦は好投続き、中日の「課長」と呼ばれる投手はこの人

 中日投手陣を引っ張ってきた柳裕也が8月18日、国内FA権の資格取得条件を満たした。

「中日は絶対引き留めなければいけない投手です。マウンド上の働きだけでなく、大野雄大と共に投手陣の精神的支柱となってきた。頭の回転が速く、ユーモアがあるので地元のテレビ番組に出演する機会が多く、ファンからも絶大な人気を誇ります。ただ、柳が入団後、新人だった2017年から昨年までの8シーズンで5位以下が7度、22年から昨年までは球団史上初の3年連続最下位と中日は低迷期が続いています。1人の野球人として、優勝争いできる環境でプレーしたいという思いはあるでしょう。今後の野球人生を考えた時、環境を変えて勝負することも選択肢の一つになる。他球団の評価を聞いてみたい思いもあるのでは」(中日を取材するスポーツ紙記者)

 21年に26試合に登板して11勝6敗、防御率2.20で最優秀防御率、最多奪三振(168)のタイトルを獲得、投球回数172イニングもリーグトップだった。23年には8月13日の広島戦(バンテリンドーム)で9回を投げて無安打3四死球に抑えたが、打線の援護がなくノーヒットノーラン達成を逃している。この年は24試合登板で4勝11敗、防御率2.44。好投しても報われないマウンドが多く、他球団だったら白星と黒星が逆の数字でも不思議ではなかった。昨年は2軍での調整が長く、13試合登板で4勝5敗。オフの契約更改で球団から複数年契約を打診されたが、3800万円減の推定年俸1億1000万円の単年契約でサインしている。

 今年は右肩のコンディション不良で4月下旬から2カ月半離脱したものの、ここまで9試合登板で2勝2敗、防御率1.96と安定しており、クォリティースタート(先発投手が6イニング以上を投げ、かつ自責点3以内)率77.8%とゲームメイク能力は高い。

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