
「ただの可愛いお嬢さん」という期待値の低さ
――まだまだ男性優位の自民党において、若手女性議員の活躍をはばむ壁はありますか。
障壁とは違うのですが、政界や日本社会全体における期待値の低さは残念ながら感じます。支援者や関係者の方に、「ただの可愛いお嬢さんだと思っていたら、実力あるんだね」と言われたことがあります。議員会館で議員バッジを付けて歩いている時でも、衛視さんに「通行証を見せてください」と呼び止められます。
悪気はないけれども、「若い海外ルーツの女性は議員ではない」という潜在意識によって、「あなたはここにいるべきじゃない」というメッセージを暗に発しているとも受け取れます。でも私はちゃんと自分の選挙区の民意を得て、議員として活動しているわけで、こうした態度は有権者に対しても失礼です。
――日本社会全体でジェンダー平等の意識変革が進む中、自民党は周回遅れの印象です。突破口はどこにあるのでしょう。
政界における若年層は40代くらいなので、その時点で民間より20年程度の差があります。
そもそも議員も当選回数が少ないうちは、選挙で勝つためにくまなく地元を回り、様々な民意に触れる中で、自身の意識もアップデートされていく。でも当選を重ねて地盤が固まるにつれ、日々の有権者とのやり取りは少なくなり、当初の支持者たちも自分とともに年を取っていきます。
私はまだ当選して3年目の36歳ですが、自分の感覚や常識もいずれ次世代に追い抜かれるべきだと思っています。ジェンダー観を含め、年齢が下がるほどフラットな視点を持っていると感じるので、男女問わず若い世代の議員を増やすことが今の自民党と政界には必要だと思います。
(AERA編集部・大谷百合絵)
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