愛子さまはご両親と共に、昭和館(東京都千代田区)で、戦後70年の特別企画展『昭和20年という年~空襲、終戦、そして復興へ~』をご覧になりました。愛子さまにとって、こうした戦争の展示を見学されるのは初めてのこと。そこには、国民学校に通う女子児童が終戦の日に玉音放送を聞いたときの作文などが展示されていました。それらの展示品を見る愛子さまの表情は、すごく強い衝撃を受けていらっしゃいました。このころから平和に思いを馳せておられたのではないかと思うんです。その時の愛子さまのご様子はいまも忘れられません」

そして、愛子さまが願うのは世界平和

 さらに、中学校生活最後の16年に愛子さまは修学旅行で広島県を訪れている。原爆ドーム、平和記念資料館などを訪れ、卒業文集に『世界の平和を願って』と題した作文を書かれている。

「中学校生活の3年間は、戦時下の様子を伝える資料やその時代に生きた人の足跡に触れて、自分の中に芽生えた気持ちと向き合い、考えていかれたのではないかと思います。平和を願うお気持ちがしっかりと確立されたのではないでしょうか」

 そんな愛子さまは、実際に「世界の平和」を願っている。

 5月9日に大阪・関西万博を訪れた際、愛子さまはシンガポールのパビリオンで都市生活と自然の共存に関する展示を見たあと、パネルに自分の夢を書くとその文字が球面の天井に映し出される演出を体験された。愛子さまは「自分の夢」に何を書かれたかというと、「世界平和」だった。

「“自分”の夢を問われて、『世界平和』と書かれるとは、よく考えると驚きですよね。しかし、これまでの愛子さまの経緯を知れば、その思いは強いことがわかります」

 愛子さまの父である天皇陛下は戦後生まれで、戦争を知らない世代に戦争の記憶と平和への思いを継承していく大切さを記者会見などで繰り返し語られている。そのバトンはしっかりと愛子さまが受け取っているようだ。

(AERA編集部・太田裕子)

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