「パ・リーグの主催試合で適用される指名打者制が、DeNA打線爆発のきっかけになりました。オースティンはこの3試合で指名打者に起用され、14打数6安打で打率.462、1本塁打、2打点をマーク。森敬斗の活躍も光りました。8番の時は次に投手が控えているので自分で決めようと力が入っていたのですが、9番に回って1番につなぐ意識が強くなったのか、スイングがシャープになった。上位から下位まで切れ目のない打線が完成してソフトバンクの投手陣を攻略しました」(DeNAを取材するライター)

 指名打者制の導入で、DeNAは強打者たちを同時起用できる。だが、打撃に力を入れている球団が有利に働く制度かというとそうとも言い切れない。セ・リーグのスコアラーは、「強力投手陣の阪神は優位に働くでしょう。先発投手の負担が軽減される。イニング数が増えますし、救援陣の負担が軽減されてさらに強固になると思いますよ。野手も前川右京は肩が弱いので外野の定位置をつかみきれませんが、打撃センスはピカイチです。指名打者で輝く選手の筆頭格になる可能性があります」と分析する。

見据えた外国人補強

 一方、指名打者制の導入に前向きだった巨人はどうだろうか。前出のスポーツ紙デスクはこう語る。

「他球団と比べて大きなプラスアルファがあるかというと疑問符が付きますね。今の巨人は器用な選手が多いですが、全体的に小粒なんですよね。守備に難があるけど、打撃能力が抜きんでているという選手が見当たらない。現状で起用するなら大城卓三ですかね。これは巨人に限った話ではないですが、指名打者制が導入される27年以降を見据えた外国人補強ドラフト戦略が重要になってくるでしょう」

 指名打者制の導入により、評価が変わってくる選手が出てくるだろう。オースティンは昨年首位打者を獲得したが、度重なる故障で毎年シーズン中に離脱している。だが、指名打者で起用できるとなればケガのリスクが軽減される。戦力補強を含め、セ・リーグの各球団の野球が、どのように変化するか楽しみだ。

(ライター・今川秀悟)

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