スポーツ紙記者は以下のように指摘する。

「野球人口の少子化が進む中で、守備に難があるが打撃能力が高い選手にチャンスを与えられる指名打者制は魅力的です。パ・リーグの投手は指名打者制の打線を相手に投げているので、セ・リーグの投手より能力が相対的に高いことも見逃せません。メジャーで活躍している投手を見ると、ダルビッシュ有(パドレス)、大谷翔平(ドジャース)、山本由伸(同)、千賀滉大(メッツ)、菊池雄星(エンゼルス)などパ・リーグ出身の投手が多い。交流戦も過去に20回開催されていますが、パ・リーグが17回勝ち越しと圧倒しています。セ・リーグが力の差を縮めるために、指名打者制を導入するのは必然の流れと言えます」

形勢をひっくり返した

 指名打者の導入でチーム力が大きく上がる球団はどこにあるだろうか。パ・リーグ球団の打撃コーチは「間違いなくDeNAでしょう」と即答する。

「交流戦で戦っていて感じたのですが、DeNAはパ・リーグのチームにチーム編成が似ている。現有戦力で見てもタイラー・オースティン、マイク・フォード、佐野恵太、筒香嘉智、宮崎敏郎など指名打者で起用できる選手がそろっている。度会隆輝も外野の守備に不安を抱えていますが、打撃センスが光る選手です。指名打者があれば打席でチャンスが与えられる。松尾汐恩も対応能力が高いので、1軍でもっと打席を見たい選手です。選手の顔ぶれを見ると、色々な起用法が考えられるのでメリットは多いと思います」

この言葉を裏付けたのが、昨年の日本シリーズだった。レギュラーシーズン3位からCSを勝ち抜いたが、日本シリーズ前の下馬評はパ・リーグを圧倒的な強さで制したソフトバンクの絶対的有利と占う声が多かった。DeNAは実際に本拠地・横浜スタジアムで2連敗と苦しいスタートになったが、敵地・みずほPayPayドームで3連勝と形勢をひっくり返した。

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