
これまで「湯治」と言うと、温泉宿で7日間以上宿泊療養するイメージでしたが、実際に何日間から効果があるかなどの全国的なエビデンス(科学的根拠)はありませんでした。環境省の「新・湯治効果測定調査プロジェクト」で研究責任者を務めた早坂信哉医師は、「もっと短くても効果があるのでは」と調査したところ、日帰りでも一定の効果があったそうです。早坂医師は「現代の多忙なビジネスパーソンこそ、リフレッシュ方法の候補に温泉を入れてほしい」と語ります。
早坂医師の最新著書『医師が教える温泉の教科書 日帰りでも「湯治」はできる! 疲労回復の極意18』(朝日新聞出版)では、最新研究にもとづき温泉の泉質ごとの効果や正しい入浴法などをまとめています。同書の「はじめに」から抜粋してお届けします。
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疲労が溜まるばかりの生活をしている人へ
現代のビジネスパーソンはとても忙しく、疲労が溜まるばかりの生活をしている人も多いでしょう。働き方改革が進み、これまでよりはゆとりができた人もいるかもしれませんが、休日に十分リフレッシュできぬまま、月曜を迎えている人もいるでしょう。
リフレッシュの方法はさまざまありますが、そんな人たちに私がおすすめしたいのは、温泉で効率的に疲労回復することです。
「温泉に行けるほど、まとまった休みなんて取れない」と反論されそうですが、最新の研究結果では、温泉は週末に1泊するだけでも、あるいは日帰りでも効果があることがわかってきたのです。
詳しくは本書で解説しますが、環境省の「新・湯治効果測定調査プロジェクト」で私は研究責任者を務めました。これまで「湯治」と言うと、温泉宿で7日間以上宿泊療養するイメージでしたが、実際に何日間から効果があるかなどの全国的なエビデンス(科学的根拠)はありませんでした。現代では7日も温泉宿に滞在できる人はまれで、「実状に合わせてもっと短くても効果があるのでは」と調査したところ、日帰りでも一定の効果があったのです。
