小籔千豊さん(撮影/中西正男)
小籔千豊さん(撮影/中西正男)

親の言葉、教育が自分をつくっている

 これもね、外から見たら「良い旦那さんですね」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんけど、そうではないんです。「それができなかった時の自分がイヤ」。結局、ベクトルは自分に向いてるんです。本当に。

 この歳になって、もう十分すぎるくらい大人になって、より一層、親の言葉、教育が自分をつくっていることを痛感します。そうなると、自分の意志ってなんなんだろうとも思います。

 以前に比べて人のことを揶揄しにくくなってきたのも、そういうところなのかなと。「なんやねん、コイツ」と思うような変な人がいても、それもどこまでがその人自身のことで、どこまでが周りの環境なのか。そう考えると、反射的に「なんやねん、コイツ」が出てきにくくなりました。

 今、ありがたいことにテレビにも出してもらって、自分がコメントを言うようなお仕事もさせてもらっています。そんなことをしていると、いろいろな人と直接会う機会も増えますし、渦中の人から話を聞く機会も増えました。報道を見ていると9:1くらいで批判されている人でも、直接会うと、とてもそうとは思えない話を聞いたりもする。そうなると、より一層、短絡的に言葉を出すべきではないと思うようにもなりました。

 みんながそう言ってるから加担する。力の強い方が主張してることに乗っかる。そういったことに学生時代から「しょうもないのぉ!」と言ってきたつもりだったんですけど、この仕事をする中でいま一度噛みしめています。

 よく考えたら、それも母親の教えなんですよね。「そんなしょうもないことせんと、平等に考え」と言われてましたしね。子どもでまだどっちも意味が分からん時から“付和雷同”と“和して同ぜず”の話もされてましたし(笑)。

 死んで時間がたつほど記憶は薄れるもんですけど、それでも残ってるんですね。今でも「これをやったら怒られる」は分かりますしね。怒られんように、なんとかやっていきたいと思っています。

(中西正男)

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