小籔千豊さん(撮影/中西正男)
小籔千豊さん(撮影/中西正男)
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 2006年から22年まで吉本新喜劇の座長を務め、勇退後もさらに幅広く活動する小籔千豊さん(51)。「漫才」と「コント」に加え「顔」でも競う新たな賞レース「トリプルインパクト」も8月24日にクールジャパンパーク大阪TTホールで開催します。バンド活動や役者のみならず、近年は英会話やゲーム配信などYouTubeを活用しながらアグレッシブに自らの興味・関心を表現しています。精力的な動きの根底にあるのは、2008年に亡くなった母・英津子さんの姿だといいます。

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 よく勘違いをされるんです。

 僕は音楽フェスをやったり、オンラインゲーム・フォートナイトの大会をやったり、バンドも組んだり、いろいろとやっているので、「キングコング」の西野とか「オリエンタルラジオ」の中田のあっちゃんみたいな「達者な芸人」みたいなカテゴリーでみられることもあります。

 ただ、そこは明確に違います。彼らは先のことを考えて緻密に計画を実現していく立派なビジネスマン。僕は行き当たりばったり。ピンボールの玉があちこち当たりながら弾けていくみたいなもので、プランなんてないんです。

 8月24日に開催する「トリプルインパクト」というイベントも、「笑い飯」とやっているMBSラジオ「小籔・笑い飯の土020」での話からたまたま生まれたもので「ラジオで言うたからにはやろうか」というのが出発点でした。

 嘘から出た実(まこと)みたいなもんですし、何回もマネージャーに確認しました。「先輩がやってることやから仕方なく出るとか、そういう負担はないように」と。ただ、結果的に素晴らしい後輩たちが集まってくれましたし、本当にありがたいことだと思っています。

 行き当たりばったりだし、根はぐうたら野郎の、先延ばし野郎なんです。ただ、今回後輩たちに協力いただいて新たなイベントをやるのもそうですし、僕の人生の中で今が一番「思い立ったが吉日」をやっています。

 その原動力になっているのは「いつ死ぬか分からん」という思いです。

 うちの母親は2005年に55歳で死にました。漠然と親は60歳を過ぎてから死ぬのかな。親が還暦を迎えたあたりで、喪主の勉強もしておかないと……そんなことを思っていたら、55歳だった。50代で人は死ぬんだ。もちろん頭では分かっていたことなんですけど、それをより深く刻まれたというか。

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