「部下が動かないから動かしたい」というのは、痛みを解消しようとするニセの願望です。

 私が彼にしたアドバイスは、基本的には自問自答のメソッドを応用したものです。【図1】を見ていただくとわかりやすいでしょう。

 この図は、人が願望に向かって歩んでいくことを表した図です。

 左下の丸の部分が自分の現状、右上の星が実現したい未来の願望です。

 現状と願望の間にはギャップがあります。現在が課長であり、望む未来が社長であれば、そこにはギャップがあります。

 現在は独身、将来は幸せな家庭を持っている自分という場合もそうです。

 このギャップを埋めるための道のりがわかれば、望む未来に向かって歩んでいけます。それが戦略です。

 戦略がわかったら、行動をしていきます。

 途中で壁に当たるかもしれませんが、それを乗り越えて行動し続けると、望む願望にどんどん近づいていきます。

 相談してきた役員の方の悩みは、(3)の現状についてです。

「現在、年上の部下が言うことを聞かない」という現状について話しています。

 願望を実現したいと思ったときは、上の図の(1)から(4)の順番で考えることが大切です。

●自分の「本当の願望」に気づくことで、悩みが消えてなくなる

 ですので、私はまずこう質問しました。

「将来の望みは何ですか?」

 その役員さんは、能力があり若くして出世した方ですので、「将来は社長になりたい」とのことでした。

 そして、お世話になった人たちに恩返ししたり、地域社会に貢献していきたいと考えていました。

 続いて、(2)の戦略について質問します。

「社長になるために必要なことは、何ですか?」

 彼は営業担当の役員でしたので、まず優先されるのは、お客様との関係を強め会社の営業成績を上げることでした。

 そして、(3)の現状について質問します。

「では、部下があなたの言うことを無視するということと、あなたが社長になるということは、直接的に何か関係がありますか?」

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