巨人でさえ優勝から遠ざかった時期は、球場内に空席があった。しかし近年は各球団がマーケティングに特化、勝敗とは無関係に集客ができるシステムを作り上げている。巨人も同様で多くの手法を用いて、主催試合は多くのお客さんで賑わっている」(在京テレビ局関係者)

 新聞や地上波テレビの衰退が進む中、巨人も集客に本気を見せている。『東京ジャイアンツ』のブランド展開をすることで、海外からのインバウンド客取り込みに成功。チケット販売に関しても詳細なリサーチを行っている。

「インバウンド客にとって、『東京ジャイアンツ』は日本を代表するチーム。東京ドームへ足を運びたくなる気持ちをくすぐっている。また販売済み席が空席の場合、そのチケットがどこに流れているのかの追跡も行っているという」(スポーツマーケティング会社関係者)

『転売ヤー』対策も行い、1人でも多くの人に東京ドームを埋めてもらう努力をしている。グッズ、飲食の売り上げ増にもつながり、トータルでの球団収入も上がる。

「東京ドームが本拠地なのも大きい。酷暑の中、ナイターでも屋外球場での観戦は厳しい。冷房が効いた快適な環境で観戦できるとなれば、選択肢になるのは当然。今季のホーム試合で東京ドームを使用した西武ロッテのファンからも『羨ましい』という声が出ていた」(在京球団関係者)

 1988年開場の東京ドームは、「野球は空の下で見るものであり、時代遅れの建物」と酷評されていた。しかし気候変動に伴って重宝され始めているのは皮肉にも感じる。

「屋外球場が本拠地のDeNAやロッテは、野球以外の魅力向上に全力を注ぐ。酷暑の中で選手のパフォーマンスはどうしても落ちる。観客も熱中症の危険と隣合わせでの観戦。野球以外での楽しみがなければ、集客はできない」(在京球団関係者)

 DeNAやロッテは、各試合で冠スポンサーをつけてイベント化。始球式には各方面から著名人を招聘、試合前後には球場内外でライブイベントも行う。選手も通常と異なるユニホームを着用することで、グッズ売上にもつながる。もちろん夏限定のスペシャルメニューを準備した飲食展開も抜かりがない。

「野球をモチーフにした夏祭り。野球ファンのみでなく、夏休みの家族連れが楽しめるようにする。そのためには、興味を持ってもらえるような多くのフックがいる。野球から多少、離れた企画を行うのも仕方がない」(スポーツマーケティング会社関係者)

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