東京ドームの集客は好調だ(写真提供・日刊スポーツ)
東京ドームの集客は好調だ(写真提供・日刊スポーツ)
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 NPB各球団のビジネスモデルが変化している。グラウンド上の結果と集客数の関係性が薄まっているのだ。中でも巨人(東京ドーム)、DeNA(横浜)、ロッテ(ZOZOマリン)に関しては、「勝敗」と関係なく多くの観客が球場へ足を運んでいる。

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「勝っている時にお客さんが入るのは当然。負けが続く時にお客さんを集めるのがプロ」

 プロスポーツ業界で言われ続けてきたことが、近年のNPBで体現されている。調子が上がらなかったり、優勝から遠ざかっていても、多くのファンを集めている球団が増えている。

「親会社からの赤字補填では、球団経営は続けられないことがわかった。何があっても観客を集め、お金を生み出していかないと潰れてしまう。一般企業なら当然のことなのですが……」(在京球団関係者)

 球界再編問題が持ち上がった2000年代前半から、各球団はマーケティングを重視しての効果的な球団経営に着手するようになった。

「欧米のプロスポーツ界で働く人材を積極採用するようになった。国内でもスポーツビジネスに特化した人材を育てる大学や専門学校も増えた。球団経営のプロを雇い、ビジネスとしての軌道に乗せていった」(スポーツマーケティング会社関係者)

 昭和時代は「勝てば官軍」という言葉があるように、強いチームには黙っていてもお客さんが入っていた。「巨人・大鵬・卵焼き」と言われた、巨人V9時代(1965〜73年)はその最たるものだった。

「長嶋茂雄、王貞治といったスーパースターを軸に、他球団を圧倒する姿に憧れる人は多かった。また読売新聞、日本テレビといったメディアも有効活用してファンを増やした。後楽園球場(当時)はチケットが常にプラチナ化していた」(在京球団関係者)

 巨人は『球界の盟主』と呼ばれ、その後も長年にわたって人気と実力を誇った。しかし他球団が優勝する年があれば、そういうチームの試合にも多くのファンが詰めかけた。勝敗と集客が密接に関わっていた時代だった。

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