
8月5日から開幕した第107回全国高校野球選手権大会。今年は全校生徒24人中23人が野球部員という通信制私立校・未来富山(富山)、3年前のセンバツで物議を醸した落選という試練を乗り越えてきた聖隷クリストファー(静岡)、アニメ「球詠(たまよみ)」のモデル校になった叡明(埼玉)など5校が、いずれも春夏通じて甲子園初出場をはたした。
そして以前にも、夏の甲子園では、ユニークな校名や異色の経歴で話題になった出場チームが存在した。
まず、夏の甲子園史上初の校名にカタカナが入った学校(春も含めると、1965年春の沖縄・コザが初)として球史に名を刻んだのが、2005年の宮崎県代表・聖心ウルスラだ。
キリスト教の伝説の守護聖女・ウルスラに由来する校名を持つ同校は、県大会ではダークホース的存在ながら、エースで4番の川野翔平を中心にナイン一丸となり、創部4年目で甲子園出場の夢を実現。「ウルスラ」というインパクトの強い校名も話題になった。
だが、初戦でいきなり夏連覇を狙う駒大苫小牧と当たり、0対5と完敗。最速146キロ右腕・松橋拓也の高めに浮く直球に手を出し、散発2安打完封負けと、全国のレベルの高さを肌で実感させられた。
それから12年後の17年、聖心ウルスラは、2年生エース・戸郷翔征(現巨人)が県大会5試合37イニングで45奪三振を記録する“ドクターK”ぶりを発揮し、再び聖地にやって来た。
九州勢同士の対決となった1回戦の早稲田佐賀戦、戸郷は4回まで無安打無失点に抑えるなど、毎回の11奪三振、2失点完投と評判どおりの実力を見せ、校名にカタカナが入った高校の春夏通じて初の甲子園勝利に貢献した。
16年には北北海道のクラーク国際がカタカナ入りの学校として史上2校目の夏の甲子園出場をはたし、2度目の出場となった23年に前橋商を7対1で下して甲子園初勝利を記録。史上3校目・聖隷クリストファーの戦いぶりにも注目したい。