
「(音楽性と政治性を)切り離せと言われても、どう切り離すのかよくわからないです。そこを分けてしまうのも政治的な態度ですからね。政治的なことを言うと面倒くさいと思われるのかもしれないけど、ミュージシャンって、面倒くさくてナンボじゃないですか(笑)。“政治的な発言をするアーティスト”として私の名前が挙げられることがあるんですけど、そういうときにミュージックステーションに出ているような人の名前が出たほうがいいんじゃない?と思いますね」
7月22日には、参議院選挙・東京選挙区で当選した参政党の新人・さや氏に対する怒りを歌詞にした楽曲「IGMF」を発表。春はSNSで「これはスピード感を持って出した方がいい怒りだと思ったので、 1日で作った歌詞とトラック 曲と呼ぶほどのものではないけど、あなたが正当な怒りを封殺されそうなときにお守りになれば幸いです」とコメントしている。政治家の言動に憤り、怒りを覚え、それを率直に表現することは、アーティストとしてきわめて真っ当な行為。同時に“政治的な発言をするアーティスト”に任せて溜飲を下げるだけではなく、楽曲を受け取った一人ひとりが考え、話し、行動するこそが大事なのだと思う。
(取材・文/森 朋之)
春ねむり/横浜出身のシンガーソングライター/ポエトリーラッパー/プロデューサー。自身で全楽曲の作詞・作曲・編曲を担当する。2018年4月に初のフルアルバム「春と修羅」をリリースした。2019年にはヨーロッパを代表する20万人級の巨大フェス「Primavera Sound」に出演。さらに6カ国15公演のヨーロッパツアーを開催し、多数の公演がソールドアウトとなった。2022年3月には北米ツアーを開催し、すべての公演がソールドアウトとなる盛況ぶりを見せた。同年4月に2ndフルアルバム『春火燎原』を発表。10月からは世界各国およそ30都市で『春火燎原』を携えたライブツアーを開催し、ワシントンD.C.公演にはハードコアシーンの最重要バンドFUGAZIのイアン・マッケイが来場し大きな話題を呼んだ。2023年にはSpotifyによる「RADAR:Early Noise 2023」に選出され、「SUMMER SONIC 2023」への出演、国外アーティストとの様々なコラボ作品のリリース、4年ぶりのヨーロッパツアーを開催するなど、注目度を高めている。2025年8月1日にニューアルバム『ekkolaptómenos』をリリース。全11曲を完全セルフ・プロデュースで手がけた意欲作となっている。
こちらの記事もおすすめ 【フジロック’25レポート】来場者数12万人超え。現地で感じた“フェス新時代”の幕開け