
休養や疲労からの回復を衣類で図ろうとする人が増えている。一般社団法人日本リカバリー協会の調査によると、休養や抗疲労(疲労解消)に対する個人の行動の中で最も伸びているのが衣服関連だった。「リカバリーウェア」と呼ばれる新ジャンルの出現が大きく関係しているようだ。
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同協会によると、休養や抗疲労(リカバリー)に関する市場規模は上昇傾向が続いている。2023年のリカバリー市場規模は推計5.4兆円。19年比で1.4倍になった。同協会は2030年には14.1兆円になると予測している。
休養や疲労を抑えるための個人行動では、リラクゼーションなどの「癒し」や飲料を含めた「食」の規模が大きいが、伸び率では1.66倍で「衣」がトップだった。
着用することでリラックス効果や睡眠の質向上が期待できる「リカバリーウェア」への関心が高まり、市場も拡大傾向にあるという。

そもそも、リカバリーウェアとはなんなのか。
リカバリーウェアは布を作る際の繊維に鉱物を混ぜるなどの特殊な加工を施すことで体から発せられる遠赤外線を輻射して血行を促進、この作用による疲労回復をうたうものが多い。運動後の体をケアする目的でスポーツ選手に利用されてきたが、一般層にも広がりを見せている。
リカバリーウェアが市場に出回るきっかけをつくったのが、22年に厚生労働省が一般医療機器分野で新たに設けたカテゴリー「家庭用遠赤外線血行促進用衣」だろう。これによりリカバリーウェアは医療機器の仲間入りを果たした。日本医療機器工業会が定めた自主基準をパスし、品目ごとに試験で得られたデータなどを添えて医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請をしなければリカバリーウェアと名乗ることができない。日本医療機器工業会が定めた基準には、着用により実際に血流が良くなったことを証明する評価試験を行なう必要がある。