
夏休みに入り、お盆も近づいてきた。今年もJR「みどりの窓口」の混雑は苛烈になりそうだ。JR東日本は改善策を打ち出しているが、間に合うのか。
【写真】すでに45分待ち!? 渋滞する主要駅の「みどりの窓口」
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「みどりの窓口」に大行列
「みどりの窓口」大渋滞の季節が、また始まった。
7月中旬の平日の昼下がり、東京・JR上野駅。汗をふきふき訪れたみどりの窓口の入り口には、すでに「25分以上待ち」と表示されていた。隣には長距離きっぷを購入できる指定席券売機が9台設置されているが、こちらはガラガラだ。
ワイシャツ姿の中年男性は混み合うみどりの窓口を避け、指定席券売機の前にやってきた。しかし、画面表示を見るなり、「あー、わからない」と、声を上げ、みどりの窓口に引き返した。
島根県・出雲に行くという別の中年男性も指定席券売機できっぷを購入しようとした。だが、画面と格闘すること5分以上、やっぱり買えない。尋ねると、あらかじめ調べたきっぷが「表示されない」のだと言う。操作を最初から3回繰り返したもののうまくいかず、係員を呼んだ。それでも、ダメだ。原因は「よくわからない」と、係員は言う。
「もういいです。とりあえず新幹線のきっぷだけ買います」と係員に告げ、券売機でJR岡山駅までのきっぷを購入すると、男性は足早に改札口に向かった。
同じ日、JR大宮駅のみどりの窓口は「45分待ち」。窓口前の座席で待つ人の大半が高齢者だった。
「みどりの窓口」ある駅が激減!
近年、みどりの窓口の混雑が慢性化している。
この事態はJR東日本も把握しており、「お盆・夏休み期間 券売機・窓口が大変混雑します! 最寄りの駅でお早めに」と、駅のポスターで呼びかける。
混雑の原因は、「みどりの窓口」のある駅が激減したことだ。
2021年、JR東日本は経費削減のため、みどりの窓口を25年までに約7割削減する方針を発表。21年時点で440駅にあったみどりの窓口は、昨年4月1日には209駅まで減少した。
だが、窓口が混雑し、苦情が寄せられるようになったため、昨年5月、同社はみどりの窓口の削減を「一旦凍結」した。
きっぷの買い方を知らない人がいる
鉄道ライターの小林拓矢さんはこう分析する。
「JR東日本は、もっとみどりの窓口を削減したいのでしょうけれど、利用者からの反発が大きくて、これ以上減らすのは無理でしょう」
訪日外国人を含めて、きっぷの買い方を知らない人が一定数いるからには、人が対応することは不可欠だという。