
日米関税交渉が相互関税15%で23日、合意したことで、石破茂首相の去就がさらに注目されることになった。参院選に大敗しながらも、続投する理由としていた政治課題の道筋がついたことから、党内で退陣論が強まったのだ。実際にこの日は、「石破首相退陣へ」という一部報道があった。しかし、石破首相は「報道されているような事実は全くない」と否定。自民党内の空気はどうなのか。取材した。
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ここ数日、石破首相の退陣を求める国会議員らの会合が活発に行われ、地方組織からも退陣要求が続出している。
現状を、ある閣僚経験者が説明する。
「地方議員から突き上げられるし、若手議員には、(辞任を求めるための)両院議員総会の開催を求める動きがあり、石破さんは四面楚歌。『愚や愚や汝を如何せん』(もう何もしてあげられない)といった状態です。長年、石破さんを見て来ましたけど、今は自信を失っているように見えます」
総理総裁になった途端に、キョロキョロ
そして、こう続けた。
「自民党というのは沈んでいく船。中には下野を求める意見もありますが、以前と違い、再び政権を取れるかはわからない。石破政権は誕生して8カ月で何もレガシーを残せていないから、石破さんは続けたい。それに首相候補もいない。高市早苗さんは深い思想がないし、小泉進次郎さんは経験不足だから」
石破首相の成果で思いつくのは、小泉氏の農林水産相への抜擢だ。その小泉氏は随意契約で備蓄米を放出することで、コメの価格を下げた。農水省は22日、スーパーでのコメの平均価格が8週連続で値下がりし、半年ぶりに5キロ3500円台となったことを発表した。
「火が点いたところに水をぶっかけただけ。石破氏は安倍政権時代には反アベノミクスでやってきた。その軸足があったはずなのに、総理総裁になった途端に、キョロキョロしだした。1人2万円・住民税非課税者と子供には1人4万円の現金支給だなんだと、選挙に勝つことばかり考えだした。ドンと座って、骨太の政策を示さなきゃいけなかった」(同・閣僚経験者)