無所属で出馬し落選した山尾志桜里氏(撮影/上田耕司)
無所属で出馬し落選した山尾志桜里氏(撮影/上田耕司)

国民は「山尾志桜里氏」公認問題の影響も…

 一方の野党。立憲民主党は改選の22議席から上積みが見込まれていたものの、結局、現有議席の維持がやっとだった。選挙区の激戦区で競り負けたほか、比例代表では国民民主党、参政党にも得票率で及ばず、7議席にとどまった。与党批判が吹き荒れるなか、批判の受け皿になれなかった格好だ。

「リベラルな石破総理を嫌って自民党から保守票が流出しましたが、立憲民主党はその受け皿にはなりませんでした。野田さんは立憲のなかでは保守派ですが、そのイメージを出せなかった。また、自民党・公明党と同様の既成政党と見られて敬遠された面もあったと思います」(同)

 自民党から逃げた保守票を獲得したとみられるのが、国民民主党と参政党だ。国民民主党は改選4議席から4倍増となる17議席を得た。2人擁立した東京選挙区でダブル当選を果たしたほか、富山県で自民党の牙城を崩すなど強さが光った。

「国民民主党は一時、20議席以上取るとも言われていましたから、山尾志桜里氏らの公認問題の影響は一定程度あったと思います。それでもある程度つなぎ留められたのは、『手取を増やす』『若者支援』に特化した戦略に効果があったのだと思います」(青山さん)

 そして、台風の目となったのが参政党だ。選挙直前に加わった梅村みずほ氏の1議席から、14議席へと伸張。非改選の1議席を加えて15議席となり、単独での法案提出が可能になる。

「自民党が下降トレンドに入ってどんどん数字が悪くなっていったのと対照的に、参政党はSNSの人気がリアルにも広がって人が集まり、それがまたSNSにも反映される、さらにメディアにも取り上げられるというプラスのスパイラル状態になっていきました。東京都知事選の際の『石丸現象』と同じような状態です」

 特に参政党は45選挙区すべてに候補者を立てることで、全国的な「渦」を巻き起こした。2人区の茨城、3人区の福岡で立憲民主党の現職らを上回って議席を獲得するなど選挙区で7議席、比例でも7議席を得ている。1人区ではほとんどが自民党や主要野党候補に後れをとる3番手以下だったが、「保守王国」と言われる群馬では立憲民主党の候補を上回り、当選した自民党候補に2万7千票差に迫る2位につけた。

「保守票が流れただけでなく、新しく投票に行く人もいたし、『今までの政治を変えてほしい』という層で『今回は参政に』という人も多くいました」

次のページ 参政党はこれから国民の失望を買う可能性も