新浪剛史にも堀江貴文にもあたった

「実はフジを調べてみて、最初に驚いたのは、取締役があまりに高齢だったことでした。茂木友三郎さんが89歳、日枝さんが87歳。今は地上波からインターネットへ人々の生活基盤が大きく移っているディスラプションの時代です。この人たちが10年後、20年後のビジョンをもてるのか、そう思いました」(西田)

 6月25日の株主総会にむけて、株主提案として独自の取締役候補案をだすべく、候補者にあたっていったのは2月、3月だ。

「およそ考えられる候補には一通りあたりました」

 新浪剛史にも本人には会えなかったが打診をしたし、堀江貴文にも、私がインタビューをしている皇居のお堀が見える半蔵門のオフィスと、堀江の赤坂のスタジオでも会ったという。

 なぜ、堀江を選ばなかったのか?と聞くと、

「北尾(吉孝)さんが候補になることになった。北尾、堀江の二人がということになると、並び立たない、と考えた」

 候補者を選んでいる最中には、その候補が世間でどう受け止められるか、西田にはわからなかったという。北尾が記者会見で強く出すぎたと批判されたり、近藤太香巳のパフォーマンスが批判をされることも予想はできなかったのだという。

 候補者選びではフジとかち合うこともあった。

 フジ側は、ダルトンが選んだ候補者に、監査等委員としての候補者がなく、これでは「会社法上不適法になる」と株主総会前に、何度も強調している。

 が、これについては、候補者をフジ側に発送した4月15日から株主総会の8週前である4月24日までに、フジ側と調整をして一本の取締役候補案にするつもりだったからなのだという。8週前というのは、会社法上の株主総会の議案の提出の締切り日だ。

 5月16日の取締役会で、FMHは株主総会でダルトン側提案に反対することを決め、改革アクションプランとともに発表するが、その2日前に西田がFMHの執行役員に連絡をとった時には「まだ何も決まっていない」と言っていたというから、フジの戦略部門のエリート社員にまんまと一杯くわされたわけだ。

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